心理学総合案内・こころの散歩道/犯罪心理学/神戸小学生殺害事件/「神戸小学生殺害事件:事件の背景とこれからの教育を考える」月刊「児童心理」(金子書房)1997年11月号別冊
・この事件は、この少年だけの特異な事件とはいいきれないのではないか。
・犯行声明に共感する中学生達のことが気になる。
・受験競争から脱落した生徒たちは、教師の関心を引かない「透明な存在」になってしまう。
・そのような生徒たちの抑圧された思いが、怒りとなって爆発しかねない。
・現在の学校体制では、「透明な存在」や不登校児が出現するのは当然だ。「学校離れ」も進むだろう。
・「心の教育」は、10年前にも教育界で流行したが、その効果はあまりあがらなかった。
・学校、教師、子供達に、時間と気持ちのゆとりを保障することが大切だ。
コメント教育関係の方々は、今回の事件を少年の病理性によって考えることに抵抗がおありのようです。下村氏も場合もそうですが、しかしそれは病理性を全く否定するのではなく、教育学者として、教育の問題を考えざるを得ないのだと感じました。
少年の言う「透明の存在」が、犯行の直接的な動機につながったわけではないにしても、このように教育関係者らが現状を考える大きなきっかけになるとしたら、不幸な事件でしたが、そこから学んだことも大きいと言えるでしょう。
しかし、教育に関わる一人一人が、今もどれほどこの問題を考えているのかは、私にはわかりません。たしかに、少年逮捕の直後は、大きな衝撃があったでしょうが、そのことによって実際に何が良い方向に変わりつつあるのでしょうか。
氏は、心の教育といったことより、さしあたって、ゆとりある教育を目指そうとも述べています。しかし、「ゆとり」も、すでに使い古された言葉のようにも感じます。氏が述べるような本当のゆとりは、どのようにすれば、実現できるのでしょうか。
私自身、問題を投げかけるだけではなく、読者のみなさまと一緒に考えていきたいと思っています。
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