逮捕から一夜開けた12.10。「逮捕されてよかった」「死刑だ!」「(逮捕が)遅かった」などなどの意見が聞かれます。もちろん、殺人事件の容疑者逮捕ですから、私も逮捕されて良かったと思います。もし有罪なら、死刑判決の可能性も高いでしょう。「犯人憎し」という気持ちも、心情的には良くわかります。
しかし、それと同時に、ひとりの「犯人」だけを責め立てるだけではなく、私たちの社会がそこから学び取るものがあるはずです。
今日の新聞各紙を見ました。たとえば保険会社の問題や捜査の問題点などが取り上げられていまが、一番大きな記事は、今回の事件の内容と、容疑者個人のことです。たしかにこういう記事は面白い。でも本当は、顔写真やプライベートな情報よりも、大きな組織や社会のシステムを考えたほうが、有意義だと思うのですが。
カレー事件後に続発した毒物事件のことも取り上げられています。
朝日新聞
「「混入」相次ぎ33件」:容疑者摘発13件のみ
「〜模倣犯と見られるものが多い〜」
読売新聞
「"毒物連鎖" 断ち難く:鑑識と一体の捜査が必須」:数多い未解決事件
「〜"毒物連鎖" は過去に何度も繰り返されている。〜」
産経新聞
「毒物混入33件:多発した模倣犯罪」:13件が解決、うち6件が自作自演
「「毒物混入事件は模倣性が高い」といわれるように〜」
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カレー事件後の個々の事件報道の時には、「模倣犯」という言葉は報道の中ではあまり見られなかったように思います。事件発生時には、本当に模倣したものかどうかはわからないからでしょう。
今回の記事では、毒物事件が続発したことを受けて、「模倣」とか「連鎖」という言葉を使っているようです。
さて、言うまでもなく一番悪いのは、犯人です。カレー事件の犯人であり、そのご模倣した犯人達です。
しかし、これだけ、模倣とか連鎖と言っておきながら、マスコミの影響力についてほとんど触れていないのは、おかしいのではないでしょうか。
もちろん、マスコミだけが悪いのではなく、また報道をしないほうが良いといったこともありません。しかし、今回の事件は、マスコミ報道による模倣犯の発生について考えるべき、良い機会ではないでしょうか。
(私も、記者さんと個人的に話すときには、こんなことを話したり、いくつかのメディアには投稿するときもあるのですが、なかなか取り上げてはもらえませんね。)
模倣犯の心理
新たな模倣犯、愉快犯を防ぐために
大阪児童殺傷事件:報道される模倣犯、愉快犯
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