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閉会式
「さよなら、ナガノ」「ありがとう、ナガノ」
開会式の派手さはないけれど、私は閉会式が好きです。どんな演出よりも、何よりも、選手、役員達の、さわやかで、リラックスした様子が好きです。関係者みんなが、長野に来て良かったと思えるように、お祈りしています。
「選手と、長野五輪にかかわったすべての人々が輝けますように。」(開会式の後の伊藤 みどりさんの言葉)
オリンピックをふりかえって、
今回は、このホームページのおかげで、いつもと違うオリンピック観戦になりました。ほとんど日本人選手の話題になってしまいましたが、やはり日本人のことの方が共感できる部分が多かったせいです。でも、本当は外人選手に関することでも、興味深い話はいろいろあったのですが、そこまで書く余裕はありませんでした。
* * * * *
インタビュー
清水選手が、レース直前の会見で、帽子を深くかぶり、あまり笑顔もみせなかった理由を聞かれて、答えていました。
「レース前には、そんな気分にはなれません。国民のみなさんが欲しかったのは、レース直前の僕のコメントではなく、金メダルでしょ。」
今回、インタビューに関していくつかのことを感じました。一般の事件の時にも、無遠慮で無神経なインタビューが問題になることがありますが、オリンピックの時にも、選手の邪魔になるようなインタビューはぜひ遠慮して欲しいと感じました。
日の丸・君が代
普段は、日本人であることを特に意識しない私たちでも、オリンピックの時には、「日本」を応援し、日の丸と君が代に感動することがあります。
でも、開会式で君が代が流れていたとき、観客席のほとんどは、口を開いていませんでした。里谷選手が表彰されるときに、帽子をかぶったままで、君が代も口ずさまなかったことが、後でちょっと問題になりました。本人は、特に思想的なものがあって、そうしたわけではなく、髪がぼさぼさだったから帽子をかぶり、君が代は歌詞を知らなかったから歌わなかったそうです。諸外国では、ちょっとないことかもしれません。
私は日本が大好きです。心理学的に言っても、祖国を愛することができるのは、良いことだと思います。でも、私は日本が大好きだからこそ、「日の丸・君が代」には、疑問も感じます。
国を愛すればこそ、みんなが心から受け入れられる国旗と国歌にしてほしいと思っています。
(昭和天皇が死去したとき、社会心理学者としてこの歴史的出来事をこの目で見ようと思い、皇居に行きました。ちょうどその時、新しい元号「平成」が決まり、ふと気がつくと、私はテレビ局のスタッフに囲まれていました。
インタビュアー「新しい元号が決まりました!「平成」です!ご感想をどうぞ!」
私「はあ、私は元号制自体に反対なので、特に感想はありません。」
テレビ局の人達は、困ったような顔をして、さっと、いなくなってしまいました。もちろんこんなインタビューはボツ。テレビには、全く映りませんでした。
私は日本が大好きなんですよ。だいすきだからこそ、もっと良い国になってほしいと思っているのです。)
長野の町の人達、そして3万2千人のボランティアの人達
テレビのインタビューに答えて、みんなとてもすばらしい体験だったと、語っていました。(そういう感想しかオンエアされないのでしょうが。) 莫大なお金をかけ、多くの犠牲を払って開いたオリンピックなのですから(長野冬季オリンピックの問題点参照)、ただ、メダルをとっただけではなく、関わったすべての人達にとって、すばらしい体験であったことを願っています。
言葉
清水 「ぼくはきっと世界一小さいスケーター。小さくても勝てることを証明したくて、ここまで来た。」
センデロール 「何度も負けてきたが、負けることを恐れちゃいけないんだ。」
岡崎 「学生時代は無名だった私でも、こんなことができるんですね。」
パラリンピックは3月5日開幕です。
ショートトラック西谷が金、植松が銅
冬季五輪では日本で初の十代メダリストだそうで、おめでとうございます。全然、期待も予想もしていなかった金メダル。テレビ局の人が、あわてていた様子が、おもしろかった。期待されていなかった選手が金メダルをとることって、よくありますね。
「今日は1回滑るごとに声援が大きくなって、その声援がプラスになった。」
金メダルへのプレッシャーがなく、だんだん高まってくる自分への期待と声援が、本当の意味で自分への応援となったようです。良かったね。十代でとった金メダルが、あなたの人生全体の中で、すばらしい意味を持ちますように。(若くして頂点に立ってしまうのは、いろいろ大変な面もあるでしょうから。)
複合団体距離 日本5位
お兄さんの方の荻原健司選手は、また次のオリンピックを目指すそうです。弟の荻原次晴選手は、大健闘しましたが、引退して、お父さんの仕事を継ぐそうです。スポーツ選手って、若いうちにピークを迎えてしまったり、引退したりしますよね。大きな満足感を持って引退してほしい者です。
そのスポーツの世界にずっといる人は別にして、その後の人生をどう生きるかで、そのスポーツをやってきた意義が問われると思います。
スピードスケートのショートトラック女子500メートル
勅使川原郁恵が、6位入賞
メダルはとれませんでしたが、がんばりましたよね。練習を続ける中で、お父さんは、「楽しくなかったら、すぐに止めなさい」とずっと言ってきたそうです。勅使川選手は、練習がいつもとても楽しいと言っていました。遊びで滑っているのではないのですから、肉体的には、とても辛いのでしょうが。
スピードスケート女子1,000メートル
岡崎朋美7位 島崎京子22位
今回も、良い結果が出ませんでしたね、島崎さん。でも、あなたが、橋本聖子の後、天才少女として日本の女子スピードスケート界を背負ってきた事実は変わりありません。オリンピックでの健闘に、心からの拍手を送ります。
リンクの上では、500mの時も、今回も、岡崎選手とは目も合わせませんでしたね。でも、控え室で、岡崎選手を祝福していたと聞きました。
テレビの前では、ほとんど笑顔を見せてくれませんでしたが、レース終了後、お母さんのところに行き、にっこりと微笑んでいる様子をテレビカメラはしっかりとらえていましたよ。すなおで、やさしくて、かわいらしい笑顔でした。オリンピック選手ではなくて、一人の娘に戻った顔だったんですね。
インタビュアーに向かって、「(不用意な)インタビューが選手に与える(悪)影響を考えてほしい」と訴えていましたが、私も同感です。(たとえば、スキーのジャンプ。上手くいかなかった一回目の直後のインタビューで「タイミングは?」なんて質問されて、うれしい選手がいるのでしょうか。)
それでも、あなたがテレビのインタビューに答えて、こう言ってくれたので、私はとてもほっとしました。
「(今回の長野オリンピックでは)完全燃焼もできなかったし、楽しく滑ることもできませんでした。でも、スケートをやってきてよかったと思います」
* * * *
(私は、岡崎選手も、もちろん魅力的な選手だと思いますが、彼女のことは、マスコミがさんざんほめてますから、別に私がここで取り上げなくてもいいでしょう。)
団体競技
昨日の続きになってしまいますが、原田選手に関すること。
4年前に、金を逃したけれど、今回は見事な金メダル。前回の借りを返して、ハッピーエンドだと思ったのですが、原田選手はそうは思っていないようです。前回リレハンメルの時の選手が今回も全員出場していたわけではありません。原田選手は金メダリストになれましたが、自分の責任で、金メダルをとれなかった4年前の仲間達への責任は、ずっと残っているのだそうです。
でも、そうなのでしょうか。たとえば、甲子園出場をかけた試合で、その選手のエラーのために負けてしまったら、その選手は一生責任を負い続けなければならないのでしょうか。
私自身は、ほとんどスポーツをやらないのですが、スポーツ、特に団体スポーツは本当にすばらしいから、ぜひやってみて下さいと勧めてくれる人がいます。たしかに、個人スポーツでは味わえない楽しさや感動を体験することができるのでしょう。
個人のミスがもとで試合に負けたりしたら、周りから責められることもあるでしょう。直接言われなくても、強く感じることはあるでしょう。大きな大会ならなおさらです。
でも、世界一大きなオリンピック大会だからこそ、そのメダリストだからこそ、スポーツのすばらしさ、団体競技のすばらしさを語ってほしいと思います。
もちろん、原田選手の発言は、彼の善良さと責任感によるもので、個人として責任を感じているということは、批判されるようなことではありません。それでもやはり、原田さんがすばらしい選手だからこそ、スポーツ少年達に「夢」を与えてほしいと、願うのです。
ジャンプ団体で日本が金メダル
やった!やった!やった! バンザーイ!
日本の勝利を喜ぶと言うよりも、個人的には、原田選手のことを考えて、ほっとしました。
「いつもハラハラさせてくれる原田選手」なんて言っている人がいましたが、とてもドラマチックな優勝でした。
金メダルへの道
両親、妻、子、愛する者すべてを呼び集め、試合に臨んだ原田選手。しかし結果は、79.5メートル。
一本目を終わり、日本は、4位。
「(4年前のリレハンメルと)同じ状況が来たかと正直思いました」と、原田選手。観戦していた奥さんは、見続けることができず、会場に背を向けます。
しかし、2本目の大ジャンプ、137メートル。日本チームは、まるで勝ったかのような大喜び。
(大失敗の直後の大成功は、さすがにオリンピックのメダリスト。凡人の私にはとてもまねができません。)そして、アンカーの船木選手。
「言葉に言えない重圧で、自分をコントロールできない初めての体験でした。でも、今までの試合どおりの自分を考えていました。」
その結果、プレッシャーをはねのけるジャンプで、日本悲願の金メダル獲得。
いつも笑顔の原田選手の顔が涙でぐしゃぐしゃです。
「長かった.....」「腰が抜けた......」「みんなの力......」インタビューを受けても言葉になりません。
日本中に感動があふれたことでしょう。
自室で奥さんに会った原田選手。「二人とも言葉を交わすこともできず、ただ、だきあって泣きました」
美しく、見事な崩壊
フジテレビで解説をしていた人が、泣きじゃくる原田選手のことを、今までのオリンピックでも見たことがないような「美しく、見事な崩壊」だと言っていました。
人は、苦労して何かをやり遂げたとき、それまで張りつめていた気持ちが一気にゆるみます。山の頂上に着いたときの達成感、仕事を成し遂げたときの満足感、その気持ちが大きければ、飛び跳ねたり泣き出したりするでしょう。
原田選手のこの「美しく、見事な崩壊」をみると、この4年間がどれほど辛かったかが想像できます。また、その辛さを表に出さず、笑顔でいつづけたからこその、「大崩壊」でした。
とても感動的でしたが、とても大変でしたね、原田さん。
(今回は、美しく、見事な、感情の崩壊でしたが、これが少年犯罪などの場合には、日頃の不満や愛情への渇望が一気に爆発して、犯罪行為に走るわけです。)
ハッピーエンドだから良かったけれど
今回は、ドラマのようなすばらしい幕切れでした。でも、もし金メダルがとれなかったら、どうだったのでしょうか。原田選手の2回目の大ジャンプがなかったら、どうだったのでしょうか。
原田選手の奥さんが心配していたとおり、私たち日本人は、原田選手を許さなかったのでしょうか。心ない一部の人達は、また嫌がらせの電話をしたのでしょうか。
もし、そうだとしたら、3回のオリンピックを開催し、通算100個の金メダルを獲得した私たちの国日本は、それでもとても恥ずかしい国だと思います。
オリンピックに出場しても、金メダルがとれなければ不幸になってしまうとしたら、何のためのオリンピックだか分かりません。
もちろん、単純に、負けてもいいという意味で「参加することに意義がある」とは言いません。現代のオリンピックともなれば、プロボクシングのように「敗者には、何もくれてやるな」という考えも、絶対に間違っているとは言いません。しかし、金メダルをとった自国の選手を誉め称えることは誰にでもできます。むしろ、大失敗をした選手に対して、どんな態度をとるかで、その国のアマチュアスポーツに関する成熟度がはかれるのではないかと、今回感じました。
オリンピックが変質したとはいえ、今もオリンピック憲章の精神は、生きているのでしょうから。
* * * *
「オリンピズムが求めるのは、文化や教育とスポーツを一体にし、努力のうちに見出されるよろこび、よい手本の教育的価値、普遍的・基本的・倫理的諸原則の尊重、 などをもとにした、生き方の創造である。」
「オリンピズムの目標は、あらゆる場でスポーツを、人間の調和のとれた発育に役立てることにある。またその目的は、人間の尊厳を保つことを重きに 置く平和な社会の確立を奨励することにある。」
* * * *
「ボクにとっての金メダルは、自分のベストを尽くすことです。」クロスカントリーで最下位だったケニア人選手が、インタビューに答えて。(最後にゴールしたこの選手を、この種目の優勝者がゴール地点で出迎え、握手をしていました。)
すいません。今日はほとんどオリンピック番組を見ませんでした。ところで、昨日のジャンプのテレビ中継。視聴率は、最高42.1パーセントでした。これは、競技を終えた後の「フラワーセレモニー(表彰式)」の時の記録です。感動的に盛り上がりましたからね。
船木和喜選手 ジャンプラージヒル 金メダル
「自分には、自分のものを見つけたという強みがある」(新潟日報98.2.16)
彼独自のスタイルを生かした金メダルでした。
原田雅彦選手 銅メダル。
やった! やった!
ところで、テレビ報道によりますと、いつも報道陣にサービス精神旺盛な原田選手が、今日は朝からはとても無口で、報道陣と距離をとっていたそうです。緊張している様子をはっきりと顔に出し、いつもの「原田スマイル」がありませんでした。
(そうだ、そうだ。こんな時は、周りに気を使う必要なんかないよ。自分の思ったとおりにやればいいんだよ。)
インタビュアーの「辛い思いをしたのでは?」と言う質問には、こう答えていました。
「私だけじゃない。今日ジャンプした62名の全員が、深い思いを持っているのです。」
そして、子供に向かって、涙ながらに、
「やったよ!パパは!」
* * * *
でも、新聞でこんな記事を読みました。(新潟日報98.2.16)
4年前のリレハンメルオリンピックのジャンプ団体戦で金メダルを逃した後、いやがらせの電話が1年も続いたそうです。お父さんは、どこに行ってもまず謝る言葉が先に出るようになり、お母さんも、その話題を注意深く避け、気遣う毎日でした。
「チームメイトがほとんど手にしていた金メダルを自分が銀に変えてしまった。この償いは一生かかってもできない」
そして、今日、136mの大ジャンプで、見事な銅メダル。
それでも、まだ奥さんは気がかりなようです。
「いつもあのことが出てくる。かわいそうです。これで帳消しになるのでしょうか。団体戦で金をとらないと許してもらえないのでしょうか」
スピードスケート男子1000メートル 清水宏保 銅メダル
テレビのインタビューによると、500の時より、緊張していたそうですが、それで銅メダル。すごいですね。途中で足ががくがくしてきたそうですが、最後は気力で滑りきったそうです。彼の場合は、緊張感が「気力」として、良い形で働いたようです。
しかし、もちろん、心理的な面だけで勝負が決まるわけではありません。いろいろな要素が複雑に絡み合って、結果が出るのでしょう。
清水選手自身は行っています。
「単に結果が出ているだけで、何が良い、悪い、というわけではありません。みなさん、結果よりも、過程を見て、評価してほしい。みんな一生懸命やってきたのですから。」
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堀井学選手 17位
「大声援の中で期待に応えられなかったのが悔しい。でもたくさんの子どもたちに五輪のすばらしさを自分自身伝えられたと思う。この悔しさをばねにまだまだ滑りつづけたい。」
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