心理学総合案内「こころの散歩道」/災害心理学/新潟県中越沖地震新潟青陵大学・碓井真史)

災害心理学
平成19年新潟県中越沖地震被災者のために
(こころのケア)


このページがYAHOO!の中越沖地震に関するニュースページで紹介されています。

2007.7.18


2007.7.16午前10:13、新潟県中越地方で、震度6強の地震が発生しました。

7.18現在、死者10人、重軽傷者1278人。全壊家屋944、半壊一部損壊1689棟。そして、4743人が避難所生活をしています。
2004年にも新潟県中越地震(死亡67人)が発生しており、わずか数年後に同じ地域で大規模地震が発生するとは、地域住民も専門家も予想していませんでした。
(当サイトのウェブマスターは新潟青陵大学大学院に勤務し、新潟市に在住しています。大きな揺れを体験し、すぐテレビをつけ、また中越で大地震だと知ったとき、不安、恐れ、悲しみ、何とも言えない悔しさを感じました。しかし、多くの災害を乗り越えてきた中越の皆さんは、今回の災害もきっと乗り越えられると、信じています。)

災害心理学 2004新潟県中越地震被災者のために
(子どもの心のケア、災害被害者の心理、ストレス症状、避難所のあり方など)

***

こころのケアのために、今、思うこと

安心・安全

こころのケアのためにには、心理学者や精神科医も必要でしょう。カウンセリングや薬も必要でしょう。しかし、被害を受けた皆さんのこころのケアのためにまず必要なことは、安心安全です。
安心できる安全な場所を提供することです。
安心、安全につながる、具体的な生活情報を伝えることです。
皆さんは、命に関わる災害を体験し、生活が破壊されました。まず、まず必要なことは、命、体、自分や家族の生活を維持するために必要な物資と情報です。それが、こころのケアにつながります。
生活必要物資を届けてくださること、もちろん大切です。マスメディアの役割として、被災者のためには、難しい地震のメカニズムよりも、生活に必要な生活情報を伝えることが必要です。

絶望感に負けないために

災害被害を受けたとき、とても辛いのは、将来の見通しが立たないことです。被災者の皆さんの今日の食べ物、今日の水、今日の紙おむつなど、まず今日の不安を取り除くこと。明日心配なことを取り除くこと。来週、来月に向けての不安を取り除くこと、大切です。
そうして、将来への見通し、かすかな希望の光を見出すことが必要です。
そのためには、各分野から、物資の到着、金銭面の援助、支払いの猶予、様々な支援策、今後の予定などを、迅速に伝える必要があります。

孤独感に負けないために

大きな被害を受けたとき、こころを痛みつけるのは、絶望感と孤独感です。心のケアのためには、専門家の前に、まず身近な人によるケアが必要です。
お母さん、お父さん、妻、夫、家族の人々、近所の人々、先生など、身近な人とともに、一緒になって、悲しみ、不安を語り、「泣くものとともに泣き、笑うものとともに笑う」ことが大切です。
みんなが傷つきました。疲れ果てているかもしれません。でもその中で、お互いに一言をかけましょう。
誰にも気づかれず、声をかけてもらえず、震えている人が、あなたのそばにもいないでしょうか。
周囲の人々に暖かな関心を持ち続けましょう。
あなたも、誰かに心配されています。一人ではありません。
そして、
あなたの助けを、あなたの一言を、待っている人がいるかもしれません。
仮に何にもできないとしても、一緒に悩み、一緒に考えてくれる人の存在は、大きな力になります。

物の援助・心のケア

日本は豊かな経済大国です。すばらしい力を持っています。あっというまに、必要な物資が集まりつつあります。今回新潟県は個人からの救援物資を辞退しています。(2004年の中越地震あと、大量の救援物資が倉庫の中に残りました。後日、県内小中学校のバザーでも販売されました。もちろん、収益金は被災者のために使われました。)
こんなにすばやく物は集まるのに、心が寂しいままの人がいます。
マザーテレサが語っています。「本当の飢えはアフリカやインドの第三世界にはありません。本当の飢えは、東京やニューヨークのような大都会にあるのです。それは、誰にも愛されない、関心を持たれないという恐ろしい飢えなのです。」
今回被災地に入った方からお聞きした話です。被災地を歩いていて、自宅に一人取り残されていた高齢者を偶然発見したそうです。避難所にも行けず、水も飲めない状態でした。
すぐに、みんなに知らされ、水を持って人々がやってきました。やさしく声をかけ、お水や必要な物が届けられました。
マザーは語ります。「愛の反対は無関心だ」と。

がんばっている方(特にご高齢の方)へ

がんばることは、すばらしいことです。真面目で、勤勉なのは、誇るべき新潟の県民性です。
でも、
どうぞご無理をなさらないでください。
体力のある若者ボランティアも、どうぞ活用ください。
一日も早くかたづけて、生活を再建させなくてはとお思いなのは、ごもっともです。でも、一番大切なのは、命と健康ではないでしょうか。
前回、中越地震のときには、疲れた体で、倒れたお墓を直しに行き、倒れて亡くなる方がいらっしゃいました。今回も倒れたたくさんの墓石がテレビに映っています。
テレビのインタビューでも、倒れたお墓のこと、壊れた仏壇のことをとても気にされている方々が登場しています。新潟県の高齢者の皆さんは、とてもご先祖様を大切にしていらっしゃいます。
ただ、今一番大切なのは、あなたご自身です。
こんな大変なことが起きたのです。しばらくの間、申し訳ないのですがお墓が倒れていても、仏壇が壊れていたとしても、きっとご先祖様はお怒りにならにと思います。(そうではないでしょうか、お坊様方。)
むしろご先祖様は、あなたのことを気遣っているにちがいありません。
お墓や仏壇だけではありません。
家が心配だ。畑や田んぼが心配だ。早く何とかしなくては。そうでしょう。でも、それでも、一番大切なのは、あなたご自身です。
あなたこそが、地域の宝です。
どうぞ、ご自愛ください。

災害ボランティア

今回もたくさんのボランティアの方がすでに集まっています。とてもすばらしいことです。ただ、現地からの話として、「ボランティアさんはたくさん集まっているのだけれど、リーダーシップを発揮し、取りまとめてくれる人が不足している」という声も聞こえます。
高齢者の方の中には、たしかにボランティアの援助を必要としているのだけれど、「何を依頼したらよいのかわからない」と語る人もいます。
阪神淡路大震災の年を日本のボランティア元年と言う人もいます。参加者もたいへん増えてきました。さらに、中身の濃い質的向上が期待されています。

*さらに様々な心の問題に関してページ更新を準備中。
*7.18現在、今回最も被害の大きかった柏崎へ入る道は大渋滞しています。新潟県は、「救援物資の輸送にあたる緊急車両等の円滑な活動の妨げとならないよう、一般車については、〜道路の被害が集中している柏崎市内への乗り入れをお控えください。」とのお願いをしています。
*地元新潟ローカルのFMPORT(7.18)、BSNラジオ(7.19)、新潟テレビ(7.20)の番組で、このサイトの内容を話しています。

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災害とトラウマ
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