心理学 総合案内 こころの散歩道 (心理学講座)/犯罪心理学:心の闇と光/神戸小学生殺害事件

中3両親が謝罪の手紙

 8.20の報道によると、少年の両親が謝罪の手紙を出したそうです。普通のご両親がこの大事件に巻き込まれ、いま何を思っているのでしょうか。この両親を責める意見も、ずいぶん聞かれますが、私はやはり一方的にこの両親を責める気にはなれません。


サルでもわかる精神鑑定

 昨日、日本テレビ系列の番組で見ました。「質問に答えて」で取り上げたのと同じ質問が出ていましたね。


松江警察署のホームページへの投稿

 今日、相互リンクが張られている上記のHPの「私の意見」のコーナーに以下のような投稿をしました。(メールを送ると抽選でテレホンカードが当たります。みなさんもぜひどうぞ。)

「少年と精神障害者の犯罪、人権と社会の秩序」

 人間の心は、時代が変わっても、そんなに変わらないものだなと、しみじみ思います。私だって、自分や家族が被害者になれば、犯人を殺してもあきたらない奴と、思うかもしれません。神戸の事件をきっかけに、「殺人者は死刑に」、「子供でも極刑に」、「親も責任をとれ」、と言う意見が多く出てきました。百年か二百年前ならそうでしょう。しかし、私たちは、感情だけに支配されて行動するのではなく、よりよい社会づくりのためにルールを作ってきたはずです。(実際にここで意見を公にしている方々の多くは、ただ感情的に死刑だとおっしゃっているわけではないと思いますけれども。)

 一体、何歳までの、どれだけの重罪に、重罰を加えたらよいのでしょうか。14才でも死刑にすべきなら、13才でも、12才でも小学生でも同じでしょうか。以前、放火を繰り返して「保護」された幼稚園児に会ったことがあります。放火は殺人に次ぐ大罪です。その子供や親に重罰を加えるべきだったのでしょうか。

 少年への精神鑑定が行われるとなると、話題は「少年犯罪」から「精神障害者の犯罪」になりそうです。先日も精神病院に入院中の人が、外泊で病院外に出たときに、お巡りさんを殺害する事件がありました。痛ましい事件です。こんな事件があると、犯罪防止のために「精神障害者など、檻に入れて閉じこめておけ」といった意見が出ます。

 でも、実際は精神障害者の事件より、酔っぱらいが起こす事件の方がずっと多いのです。酒好きの人も、閉じこめた方がいいのでしょうか。そしてさらに、冷静に計算して金のために人を殺すような恐ろしい犯罪者達は、精神障害者でも酔っぱらいでもない、「普通の人達」なのです。

 ちょっと冷たい人間、計算高い人間、乱暴な人間も、閉じこめた方がよいのでしょうか。スピード違反をするような人間も、人をひき殺す前に免許を取り上げ、閉じこめた方がいいのでしょうか。(インターネットに怪しげな情報を流す人間も、社会秩序のために取り締まるべきでしょうか。)

 もちろん、被害者を出さないことや社会の秩序を守ることは、とても大切です。被害者の悲しみ、犯人への怒りの感情も無視されるべきではありません。しかしそれでも、私たちは、一人ひとりの人権を尊重するルールを作ってきたのです。人権を無視して、制限を加え、やたらと閉じこめたり、むやみに重罰を加えるような社会は、結局誰にとってもよい社会だとは思えません。

 私は、特に死刑廃止論者でもないし、人権派でもありません。それでも、私たちが長年かけて作ってきた少年や精神障害者に対する法の精神は、尊重したいと考えています。時代にそぐわなくなってきたというのなら、上に書いた原則、法の精神によったうえで、さらに私たちの幸せのための改善をして行くべきだと思います。

   M. Usui


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