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新潟女性監禁事件
少女は、なぜ逃げられなかったのか:3

プリゾニゼーション

「模範囚」「囚人実験」「拘禁反応」


 どんな人でも、監獄のようなところに突然閉じ込められてしまえば、普通ではなくなります。

 

囚人実験

 心理学の実験に自発的に協力してくれた健康なアメリカ市民たちが、この実験に参加しました。彼らは模擬監獄に閉じ込められます。そして、囚人として扱われます。すると、彼らはあっという間に「囚人らしく」なっていったののです。

 命令に服従し、こそこそしたり、おどおどし始めました。そして、様々な心身の不調を訴える人も出てきてしまったのです。この実験は、2週間続けられるはずでしたが、危険であると判断され、わずか3日で中止になってしまいました。

 模擬監獄でも、これほどの影響があるのですから、本当の監獄に入ることは大きなストレスになります。


拘禁反応

 監獄に閉じ込められた人が、取り乱して暴れ始めることがあります。これを「拘禁反応」といいます。不安が高くなったり、怒りを爆発させたり、ひどくなると意識が薄れたり、幻覚や妄想があらわれることすらあります。

 精神鑑定が行われるときなどは、被告の精神の乱れが、精神病によるものか、それとも単なる一時的な拘禁反応なのかが問題になることもあります。


プリゾニゼーション

 手がつけられなくなる拘禁反応とは別に、監獄という環境に過剰適応してしまう人もいます。これをプリゾニゼーションといいます。プリゾンとは監獄のことです。

 自由が奪われ、圧倒的な力にねじ伏せられて、人は個性と積極性を失っていきます。病的な歪んだ「模範囚」になってしまうのです。かれらは、従属的、依存的、受動的になり、ただ言いなりに動く人間になってしまうのです。

 もちろん、すぐにこうなるわけではありません。抵抗することもあるでしょう。しかし、抵抗しては痛めつけられてといった経験を長年積み重ねていくうちに、多くの人は、プリゾニゼーションに陥っていくのです。

 監禁されていた少女も、似たような状態になっていたのかもしれません。過酷な状況で生き抜くためには、そうせざるを得ない場合もあるでしょう。だからこそ、逃げ出すことができなかったのかもしれませんし、だからこそ生き残ることができたのかもしれません。


環境の力、心の力

 監獄でも、捕虜収容所でも、多くの人が精神的に弱っていく中で、力を失わない人もいます。それは、強い精神力によって希望を失わなかった人たちです。今回の女性も、自分の力だけで逃げ出すことはできませんでしたが、助けが来るその日まで、自分の心を保つことができました。

 人間の精神力が時には驚くような力を持つとはいえ、それでもやはり人間は環境の動物です。だから、監禁されたりすれば、心に影響があるのは当然です。

 この女性も、苦しい環境の中で、様々な悪影響も受けてしまったことでしょう。しかし、今は開放されました。新しい環境の中で、いままでの空白を取り戻し、きっと癒されていくでしょう。

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