こころの散歩道(心理学総合案内)/ 犯罪心理学 / 9年ぶりに保護/なぜ2
様々な事件で、保護されるべき被害者が、逆に責められるときがあります。なぜ逃げなかったんだと。客観的に見れば「逃げられるような状況」でも、当人にとってみれば「逃げられない状況」なのです。「逃げなかったのではなく、逃げられなかったのです。決して被害者を責めてはいけません。
被害者やその家族は、事件によってとても傷つきます。さらに、一部の心ない世間の声やマスコミによって傷つくことがあります。これを犯罪の二次被害と言います。
被害者を責めてしまうこともあります。プライバシーを暴いてしまうこともあります。歪んだ同情心のために被害者の無力感をかえってましてしまうこともあります。下手な激励をして、かえって怒らせたり、悲しませたりすることもあります。
責められるべきは被害者ではなく、犯人です。被害者には、援助と保護が与えられるべきです。
保護された被害者は、「犯人に無理やり連れていかれた」と語っていますし、対面した母親と涙ながらに抱きあったと伝えられています。
この過酷な9年間にも関わらず、正常な心を持ち続けてきた女性は、ほんとうによくがんばってきたと思います。
しかし、それでもこの9年間は、短くはないでしょう。恐怖、不安、絶望、無力感、様々な思いがあったでしょう。心が傷ついていて当然です。
普通ならできることが、今はできないとしても当然です。責めたり、焦ったりしてはいけません。
* でもね、人間って、結構強いと思います。空白の数年間もきっと取り戻せると思います。癒されない心の傷はないと思います。たとえ時間はかかっても、もう一度前のような楽しい明るい家庭に戻れるし、りっぱに社会復帰できると信じています。
関係者のみなさんは、この9年間、片時も行方不明になった少女のことを忘れず、毎年11月には、捜索のチラシを配り続けてきました。
* ね、A子さん。あなたはお父さんからも、お母さんからも、心から愛され続けてきました。他のみんなも、あなたのことを愛し、心配し、無事を祈り続けてきました。あなたが元気に帰ってきて、みんなどんなに喜んでいるでしょう。
あなたとは会ったこともない日本中のみんなも、あなたの無事をとっても喜んでいますよ。大丈夫、あなたの人生にはこれからすばらしい幸せが待っていると、私は信じています。
9年間も強く、がんばって生きてきたのだから。9年間も行方不明で元気に戻ってこられるなんて、前例がないほどに、あなたはラッキーガールなのだから。
私も、あなたとご家族の幸せを信じ、祈っています。
* 全国のみなさんへ。
犯罪被害者を初め、傷ついている人々に必要なことは、叱責や好奇の目ではなく、愛と保護だと思います。
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