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少年犯罪の心理

高3男子豊川主婦刺殺事件の犯罪心理
「人を殺す経験をしたかった」


2000.5.5〜12.26

1. 主婦殺害 第一報を聞いて:事件の概要、容疑者の人物評、優等生と乱暴者、動機 5.5:(このページの下)

2. 対人関係の病 5.11

3. 医療少年院へ12.26

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少年犯罪、非行の心理(少年法は改正すべきか) ・ 犯罪心理学:心の闇と光 ・ 17才バス乗っ取り事件の犯罪心理 ・ 神戸小学生殺人事件 などなど

犯罪心理学のページから本ができました。

誰でもいいから殺したかった! 追い詰められた青少年の心理』
ふつうの家庭から生まれる犯罪者主婦の友社2001.9.28発売! 
『なぜ、少年は犯罪に走ったのか』KKベストセラーズ ワニのNEW新書 
「少女はなぜ逃げなかったか」:続出する特異犯罪の心理学 小学館文庫


主婦殺害事件の概要

 2000.5.1.愛知県豊川市の主婦(65)が刺殺される。現場に残されていた通学用のかばんなどから近くの私立高校に通う3年生の男子生徒(17)が容疑者とされ、5.2.この生徒が交番に出頭したため、殺人容疑で逮捕された。

被害者は頭と顔を中心に約40カ所、刺し傷や切り傷などを負っていた。まず金槌で殴って抵抗力を奪った後で刺殺したと見られる。

生徒は動機について「人を殺す経験をしたかった」と供述している。


容疑者の人物評

「明るく活発。まじめで成績優秀」

近所でも「良い子」として評判が高かった。

「極めてまじめで、模範的な生徒だった」

進学校の中でも成績優秀な生徒で、クラブ活動にも熱心だった。


優等生と乱暴者

 加藤幸雄・日本福祉大副学長(非行臨床心理学)の話 「だれもが少年のことを「いい子」とみていたという。しかし、期待に適応しているように見せてはいたが、内面では葛藤(かっとう)や抑圧を抱え、だれにも見せなかった可能性がある。現実に耐えられなくなって、理由のない行動に出るのは珍しくない。ただ「人を殺す経験をしてみたかった」というまで飛躍するのは極めて特異。現実逃避を超えて、自己破壊にまで達している。」(西日本新聞)

 表面上の優等生が心の中に深い闇をもっていることは珍しいことではないでしょう。ある学校の生徒指導の先生が言っていましたが、教師に向かって正面から反発してくるような生徒は、問題が見えやすく、かえって扱いやすいそうです。

 この生徒も、もしもっと早い時期に心の問題が表面化していれば、こんな恐ろしい犯罪をしなくてもすんだかもしれません。


動機

 報道によると、彼は殺人を犯したときに「興奮した」と言っているようです。これが性的な興奮であれば、「快楽殺人」になりますが、現在の状況からはそのようには考えられません。

 殺人自体を楽しむ「純粋殺人」といったことも考えられますが、やはりよくわかりません。殺人を犯すときには、だれでも興奮はするので、その程度の意味かもしれません。

 「人を殺す経験をしてみたかった」 一般の私たちには理解のできない言葉です。まだ何も分からない段階ですが、テレビに出演していた福島章先生は「観念殺人」という可能性を語っていました。

 頭の良い(良すぎる)彼が、殺人について観念的に考えるうちに、観念の世界だけでは収まらなくなり、現実に殺人を犯してしまったというわけです。

 何十カ所も人を指すという行為ですが、いかにも残虐な犯罪と感じますが、多くの場合、恐怖心に基づく行動です。刃物を使い慣れ、腰のすわった犯人であれば一突きでしとめます。そうでない場合、反撃への恐怖や、相手が死なないことへの恐怖のために無我夢中になって刃物を刺すわけです。

 今回の場合は、状況がまだ分かりませんが、あるいはもっと冷静に刃物を刺し続けたのかもしれません。

 いずれにせよ、普通の意味での殺人動機はなかったようですが、彼の心を理解することは大変困難です。

5.4.になり、彼は初めて謝罪と後悔の発言をしています。

「亡くなった人、けがをさせたおじいさん、家族や学校に非常に迷惑をかけ、申し訳なかった」


補導少年100万人超える 7.13

 100万人という数だけを見ると、大変なことになったと感じてしまいます。しかし、1984年には151万人が補導されています。もちろん、だからといって100万人ぐらい補導されても良いというわけではありません。ただ、少年たちはいつの時代でも悪いことをしてしまいがちなのです。彼らを守り、育てていくのが私たちの役割だと思います。

<栃木リンチ殺人>19歳少年に無期懲役 宇都宮地裁(6.1)

 重い判決が出ました。被告の罪に応じた刑が公正に定められることを願っています。同時に不幸な少年犯罪が一件でも減っていくことを、心から願っています。

そのためには、私たちが少年問題に冷静な頭と熱い心で関心を持ち続けることが必要です。単純に犯人に同情するだけではなく、また復讐感情だけに振り回されるのでもない、深い論議を積み重ねていくことが必要だと思うのです。

 心理学も、少しはお役に立つでしょうか。

***

人を殺してみたかった―17歳の体験殺人!衝撃のルポルタージュ (双葉文庫)

HPから本ができました
誰でもいいから殺したかった! 追い詰められた青少年の心理』
ふつうの家庭から生まれる犯罪者主婦の友社2001.9.28発売! 
『なぜ、少年は犯罪に走ったのか』KKベストセラーズ ワニのNEW新書 
「少女はなぜ逃げなかったか」:続出する特異犯罪の心理学 小学館文庫


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