新潟青陵大学大学院(碓井真史) /心理学 総合案内 こころの散歩道 (心理学講座) /犯罪心理学/犯罪心理学入門
犯罪者の性格2011.2.24福島章 著 『犯罪心理学入門 』(中公新書) |
様々な性格の人が、様々な犯罪を犯します。私たちはそれぞれ個性がありますが、性格が極端に偏っていて、そのために自分自身や周囲の人が困るほどになると、それを「性格障害」と呼んでいます。もちろん、性格だけで犯罪者になるわけではありませんけれども、様々な性格特徴を持った人々が犯罪に走らないように気を付ける点はあるでしょう。
意志欠如型
意志が弱い。そのために仕事も長続きしない。誘惑に弱く、犯罪に誘われやすい。
自分の人生を長い目で見ることができません。
悪い人ではないのでしょうが、我慢ができません。そのために、学校も卒業できなかったり、仕事も続かなかったりします。あるいは、普通に生活しているときに、誰かから誘われると、毅然として断ることができず、何となく一緒に悪いことをしてしまうタイプです。
少年にも見られますが、主犯格が悪いことをするときに、見張り役などをさせられることもあるかもしれません。こうして「共犯者」になってしまい、罰を受ける羽目になったり、そのままワルの仲間たちに引きづり込まれてしまう人もいるでしょう。
一見強がっている人の中にも、実は気が弱く断りきれないで、ずるずると犯罪に染まっていく人もいます。早い段階での指導が求められるでしょう。
軽そう者
軽薄、お調子者で、そのために軽い犯罪を繰り返すことがある。
上手くいっているときには、楽しい人かもしれません。頭も良いのかもしれません。しかし、調子が良すぎます。たとえば、調子に乗って見栄を張ったり、大風呂敷を広げた結果、犯罪に至ることもあるでしょう。チンピラ・タイプと言ってもいいかもしれません。学校時代から、いつも口先でごまかし続けていれば、きちんとした人間関係を作ったり仕事につくことも難しくなるでしょう。
地味でも、まじめにコツコツ努力していくことが学べれば良いのですが。派手なカッコイイことをしなくても、きちんと愛と尊敬が得られることが分かってもらえると良いのですが。
爆発者
突然、怒ったり興奮したりすることで、傷害事件などを起こす。
極端に怒りっぽい人。怒りを抑えられない人。けんかっ早い人、すぐにキレる人です。。怒りの感情が頭の中を嵐の嵐のように吹き荒れると、暴言暴力を抑えることができなくなってしまいます。
起こりっっぽい人は我慢が足りない人と思われますが、しかし本人はとても我慢していると感じている人もいます。「キレる人」は、普段からストレスをため込み、上手にストレス発散ができない人です。怒ってはいけないのではなく、社会的に許される範囲の上手な怒り方を学びたいものです。
自己顕示者
いつも自分が中心でいたい。極端な自己中心。
この性格に虚言癖(ウソ、ほら話ばかりする)が加わって、詐欺師になる人もいます。極端な目立ちたがり屋は、上手くいっているときにはスポットライトを浴びて、本人も気分がよいでしょうし、周囲にとっても害はないかもしれません。しかし、もはや注目されることがなくなってしまうと、その人の性格も人生も破綻し、時に犯罪に走ることもあります。
派手な生活をしていた人が、経済的に困り始め、泥棒や詐欺をはたらくこともあるでしょう。
目立ちたがり屋ということ自体は悪くないのですが、地道な努力をすることや、支えてくれるパートナーの存在が大切になってくるでしょう。
情性欠如者
同情、哀れみ、良心などを感じない。
私たちは、違法かどうかは別として、誰かが苦痛を感じることは、嫌だと思う者です。犬や猫の虐待でも、普通なら気持ちが悪くてできないでしょう。しかしそのような、同情心、共感、ルールを破ることの後ろめたさなどを感じない人もいます。
現在、少年院や刑務所の中では、被害者の気持ちになるということを通して、更生に向けての研修が行われることもあります。
気分易変者
すぐに不機嫌になる。放火、万引きなど。
気分の波が激しい人です。さっきまで機嫌が良かったと思ったら、急に機嫌が悪くなる人。ふっと落ち込む人などです。そのような感情の中で、気持ちをすっきりさせるために放火や万引きをしてしまう人もいるでしょう。
自信欠乏者
小心、自意識が強く、傷つくことを恐れる。
実を言うと、犯罪者の多くは、一見怖く見えるような人でさえ、自信のない人、自尊心が低い人がが多いようです。「どうせ、こんな俺なんか」という気持ちです。
社会の中で強く正しく生きていくためには、正しい自信を持つことが必要です。いつもおどおどとし、傷つくことを恐れすぎていれば、人生が上手くいかず、結果的に犯罪者になってしまう場合もあるでしょう。
上記の「性格障害」「病的性格」の分類は、『犯罪心理学入門 』(中公新書で紹介されている古典的な分類です。近年では、「パーソナリティ障害」として、また異なる分類がされ始めています。
境界性格障害自分が人から見捨てられるのではないかという強い不安を持っています。そのため、いろいろな方法を使って、周囲の人を操ろうとします。また、感情が激しく、爆発的な怒りを抑えることができません。
この人達は親に暴力をふるったり、親の財産を勝手に処分することなどがあり、親が雲隠れしている例などもあります。かつてある殺人者が境界例性格障害の診断を受けましたが、善悪の判断はついたということで、有罪判決を受けました。自己愛性格障害
自分を愛することは健康なことですが、彼らは自分だけがすばらしい人間だと思っています。自分が成功しないのは、自分が悪いのではなく、周りの見る目がないと感じます。大人になって、自分の能力がそれほどでもないということになると、生活が破綻することがあります。
妄想性人格障害
人の好意を信じることができません。妄想的に、人の悪意や裏切りを感じてしまいます。これらの性格障害だからと言って犯罪者になるわけではありませんが、これらの性格のために人生が思うようにいかなくなった結果として、犯罪に走ることもあるでしょう。
大阪池田小学校児童殺傷事件の犯人は、妄想性人格障害と診断されています。
反社会性人格障害
人を傷つけたり、ルールを破ることを平気で行ってしまいます。このために大きな犯罪を犯してしまうこともあります。
☆性格が偏っているからと言ってみんなが犯罪者になるわけではありません。環境に恵まれれば、その個性を生かして、幸福に暮らせることもあるのです。
犯罪者になる3パターン ・ 犯罪者の精神分析 ・ 犯罪の社会学、社会心理学 環境の影響
ウェブマスター碓井真史の本
『あなたが死んだら私は悲しい:心理学者からのいのちのメッセージ』
いのちについて考える全てのひとのために
『誰でもいいから殺したかった! 追い詰められた青少年の心理』
秋葉原通り魔事件、八王子通り魔事件などから考える現代の問題
Tweet
BOOKS
ウェブマスター碓井真史の本
『誰でもいいから殺したかった! 追い詰められた青少年の心理』(アマ
愛される親になるための処方箋 ・親からの愛を実感できなかった青年の行き着いた先
『人間関係が上手くいく嘘の正しい使い方:ホンネとタテマエを自在に操る心理法則』(アマゾン)
上手な愛の伝え方 ・追い詰めない叱り方
ウェブマスターによる新刊(2010年5月27日発行)
『あなたが死んだら私は悲しい:心理学者からのいのちのメッセージ』
自殺といのちについて考える全てのひとのために
***
2008年9月緊急発行 『誰でもいいから殺したかった! 追い詰められた青少年の心理』 |
2008年8月発行 『人間関係がうまくいく図解嘘の正しい使い方:ホンネとタテマエを自在にあやつる!心理法則 』 |
2000年 『なぜ少年は犯罪に走ったのか』 |
2001年 『ふつうの家庭から生まれる犯罪者』 |
2000年 『なぜ少女は逃げなかったのか:続出する特異事件の心理学』 |
||
「誰でもいいから殺したかった青年は、誰でもいいから愛してほしかったのかもしれない。」 ☆愛される親になるための処方箋 本書について(目次等) |
・ 『ブクログ』書評「〜この逆説的かつ現実的な取り上げ方が非常に面白い。」 ・追い詰めない叱り方。上手な愛の伝え方 本書について(目次等) |
bk1書評「本書は,犯罪に走った子ども達の内面に迫り,心理学的観点で綴っていること,しかも冷静に分析している点で異色であり,注目に値する。」 本書について | 「あなたは、子どもを体当たりで愛していますか?力いっぱい、抱きしめていますか?」 本書について | 「少女は逃げなかったのではなく、逃げられなかった。それでも少女は勇気と希望を失わなかった。」 本書について |
「犯罪心理学:心の闇と光」へ戻る
一般的な犯罪の心理、殺人の心理などはこちら。
「心理学総合案内こころの散歩道」
トップページへ戻る
アクセス数3000万の心理学定番サイト
茨城取手刺傷事件