こころの散歩道(心理学総合案内)/犯罪心理学/安室奈美枝母親殺害事件/第一報
99.3.17午前、歌手の安室奈美恵さんの母親が沖縄で殺害されました。車でひかれた後で、鉄パイプで殴られたようです。容疑者は、被害者の義弟。犯行後、殺虫剤を飲んで自殺しました。警察は、この男性を殺人容疑で容疑者死亡のまま書類送検するもようです。
被害者のご冥福をお祈り申し上げます。
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さて、私たちが第一に考えなくてはならないことは、被害者とご遺族のことでしょう。17日午前、安室奈美恵さんは羽田から沖縄へ向かいましたが、かなり動揺している姿がマスコミに映し出されました。
現在、17日夜の段階で、ファンのページの掲示板には、すでに
「奈美恵さんもつらいのに報道陣に追いかけられてかわいそう・・・。」
「報道陣にかこまれてかわいそう」
「彼女の気持ちも考慮してほしかった」
と、マスコミの報道姿勢に対する批判の声が寄せられています。私も同感です。
タレントさんがマスコミに追いかけられること自体は、仕方のないことでしょう。(自分のプライバシーを売って商売にしているような一部のタレントさんなら、なおさら、都合の悪いプライバシーが報道されることもある程度は当然とも思えます。)
しかし、どのような場合にも、限度があるのは、言うまでもありません。
特に今回の場合は、一方的な犯罪被害者です。その人の職業が何であれ、マスコミや市民による「二次被害」は、避けなくてはなりません。
日本でも一年に1,000件以上の殺人事件が起きています(注1)。全ての殺人事件が大きく報道されるわけではありません。しかし、今回は、多くの関心を集めています。おそらく、大きく報道されていくでしょう。
このような注目の事件だからこそ、報道のあり方、市民の態度が問われると思います。私たちの社会は、犯罪被害者に対して、どのような態度をとることができるのでしょうか。
注1:多くの殺人事件が起っていると言っても、昭和30年から40年代のころは、現在の2倍前後の殺人事件が発生しています。また、アメリカでは毎年2万件以上の殺人事件が起きています。先進諸国の中では、発生件数、発生率とも、日本は最も少なくなっています。
日本は世界に誇れる治安の良さを保っているのですが、ある人に言わせると、アメリカなどは犯罪が日常的なので、だから日本よりも犯罪被害者保護の考えが進んでいるのだそうです。99.3.17. 21:00