こころの散歩道(心理学総合案内)/犯罪心理学/安室奈美恵母親殺害事件/復帰
1999.3.30
3.39、安室奈美恵さんが「元気に」仕事に戻ったどうです。復帰後の初仕事の生番組では、笑顔で登場し、「ご心配おかけしました。元気です」と初めて肉声でコメントしました。
どんな悲しい出来事の後でも、私たちはしばらくすれば、仕事を再開し、学校に行き、近所づきあいをします。そうしなければ生きていけませんし、そうすることが悲しみを紛らわすこともあるかもしれません。
*
どんなにひどい心の傷でも、必ずいやされると、私は信じています。
けれども、心の癒しには、長い時間がかかります。一見元気そうにしていても、心の傷がいやされたわけではありません。今回のような犯罪被害であればなおさらのことです。
*
事件を「忘れる」ことなど、できないかもしれません。今、心も身体も普通の状態であるわけはありません。心と身体の不調は、時には長く続くこともあります。一度、外見上は元気になった後、ぶり返すこともあります。
大切なことは、周りの人間の理解です。安易な同情や励ましの言葉ではなく、本当に必要なのは、その人が今、傷つき弱っているという理解です。
真面目で、しっかりした人ほど、心や身体が弱っている自分を責めることがあります。しかし、そんな大事件を経験した後で、心や身体の不調が長く続いたとしても、それは当然です。
・激しい感情や心の混乱
・感情のまひ
・現実感の喪失
・事件の記憶や感情が突然よみがえる
・緊張、不安
・恥の意識(被害者を好奇の目で見た「同情」をうけるため)
・自責(事件の原因は自分にも合ったと不当に自分を責めてしまう)
・二次受傷(マスコミ報道などによる心の傷)
などなど
*もちろん個人差があります。でも、たとえばカゼをひけば熱が出たりセキが出るのが当然なように、心が傷ついたときに様々な心の症状が出るのも当然なのです。
ファンのみなさんからの温かい声援は、芸能人安室奈美恵にとってもちろんプラスでしょう。
しかし、安室奈美恵さん個人にとっては、安心して自分の感情を表現できる場が必要です。ガンバレという応援よりも、傷ついた自分自身をそのまま受け入れてくれる人たちが大切なのです。
それは、事件直後の今だけではなく、数年間にわたって必要なことでしょう。
犯罪被害に限らず、心の傷は、たとえ時間はかかっても、きっと治ると信じています。傷跡は残るかもしれませんが、激しい痛みは治まっていくでしょう。
そしていつか、「この傷跡はね、むかし.......」と、冷静に話せる日がきっと来ると信じています。
☆補足☆
2008現在、復活した安室奈美恵さんは、大活躍中です!
7月には新曲2曲を収録したベストアルバム『BEST FICTION 』をリリース。〜女性ソロアーティストとして28年半ぶりに6週連続首位を獲得〜10月から自身最大規模となるアリーナツアーを開催(40万人動員予定)。:wik.
腕に「my mothers love live with me(母の愛は私と共にある)」と刻んで。安室奈美恵2009.3.18『WILD/Dr.(DVD付)』
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