「心理学総合案内こころの散歩道」/「心のニュースセンター」ダイアナの心理(プリンセスダイアナ)/01
ダイアナが両親のことをどのように考えていたかは、分かりません。ただ、一般的に、私たちはまず家族の中で人間関係を学びます。
男女の子供は、それぞれ父と母を見て、自分もああいうすてきな大人になろうと、考えます。両親が人生のモデルになるのです。
ですから、子供に対して、「お父さんのようなダメな男になるな」とか「お母さんのようなイヤな女になるな」などどいうのは、子供に悪影響を与えます。むしら、働き者だとか、優しいとか、愛しているとか、夫婦が子供の前で、ほめ合う方が子供にはよい影響を与えます。
また、夫婦としての両親の姿は、将来の自分の結婚のモデルです。
夫婦として信頼し会い、助け合う両親の姿を見て、人間をそして異性を愛し、信頼し、協力し会うことを学ぶのです。
両親の仲が悪い場合、子供は生活全般にわたって、不安を持つようになります。また、自分の結婚について不安を持つことがあります。子供は両親から愛されているという実感を持つことによって、精神が安定し、自分を大切にし、他者を愛し、よりよい人間関係を作ることができます。
ところが、別居や離婚の経緯によっては、自分は親から愛されていないと思ってしまうことがあります。さらに、お父さんやお母さんが出ていってしまったのは、自分が悪いからだと、自分自身を責めてしまうことがあります。
自分を憎んだり、親を憎むこともあるでしょう。また、両親のことが大好きなのに、その両親が互いに憎み合っていると、家庭内の人間関係のバランスがくずれ、間に入った子供が苦しむこともあります。
子供が、両親の仲裁役やぐちの聞き役を果たさなければならなくなると、子供として、子供らしく、安心して楽しく暮らすことができなくなり、自然な心の成長が阻まれることもあります。
(ただし、両親が離婚した家庭の子供は、いつも心理的問題を持つと言っているわけではありません。)
*たとえ離婚しても、お母さんとお父さんは、おまえのことが大好きなんだという気持ちを、子供に伝えることが大切です。
ダイアナは、皇太子からプロポーズを受けたとき、
「離婚した自分の両親のようにはなりたくない。結婚生活をうまく送るためには、愛する夫とどんなものでも分かち合おう」
と決意したそうです。自分の親や家族に不満があったとき、人は「自分はそうなりたくない」と感じます。時には、「絶対に、あんなふうになりたくない」と強く思います。そして、場合によっては、「もし同じようにってしまったら、人生は終わりだ」と強く思いすぎることで、自分自身にプレッシャーをかけてしまます。
何かをするとき、成功を願うのは当然ですが、成功を熱望し失敗を極端に恐れると、かえってうまく行かないことがあります。たとえば、入学試験を受けるとき、合格を望むこと大切ですが、不合格だったら死んでしまうなんて思ったら、かえって緊張しすぎてうまく行かないでしょう
親がアルコール依存症(アル中、酒乱)だった人、親から虐待を受けた人は、自分は決してそんな親にはなりたくないと、強く思います。100点満点の親になりたいと思います。
しかし、人生で満点を取ることは難しいのです。完璧を求めすぎると、何か一つでもうまくいかないことで、破綻します。気がついたときには、自分も親と同じように、酒を飲んで暴れたり、子供の虐待をしています。
ダイアナは、おとぎ話のような世界一すばらしい結婚をしました。でも、このすばらしさは、逆に大きなプレッシャーになったかもしれません。
彼女の願いとは裏腹に、ふたりの息子は、結局彼女と同じように両親の離婚を経験しました。この息子達の評判は、とても良いようです。特に長男のウイリアム王子は、能力、人格ともに、すばらしい評価を受けています。この評判通り、本当の意味の良い子達であることを私も願っています。
しかし、一般論ですが、心理学的に言って、いわゆる「良い子」の中に心の問題が潜んでいることがあります。
ダイアナは、息子達を一般の保育園に入れたように、にできるだけ普通の教育を受けさせたいと願っていたようです。また、自分たちとは違う社会的弱者の存在も小さいころから教えていたようです。
その一方、離婚後のダイアナは、「信頼できる男性は二人の息子だけ」だと語っています。またウイリアム王子のことを「あの子が私の一番の相談相手よ」と語っています。
両親の不和、浮気、母親の過食、自殺未遂、別居、離婚、そしてけなげに母親を支え続け、その母親の突然の死。この環境で、二人の王子は、「すばらしい良い子」であり続けています。いったん、高い評価を受けてしまえば、良いことをし続けて当たり前だと思われてしまいます。
無理をした「演技」でなければよいのですが。そしてどこかで、子供らしく、自然体で、取り乱したり、甘えたり、少しは「悪い子」になれるような、そんな場所もあればよいのですが。
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