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新潟青陵大学:碓井真史-心理学総合案内こころの散歩道/ニュース/成人式2003
成人式新企画・参加型・怒りと悲しみ
「あの14歳」「あの17歳」
自信喪失・少年非行・歓迎の心
2003.1.9
(当ページがヤフーのニュースサイト「成人式」からリンクされました)
お知らせ:当サイトのウェブマスター碓井もシンポジストとして話題提供!
日本応用心理学会公開シンポジウム『少年犯罪の今日的課題』2003.2.1(土)1:30pm駒澤大学にて
この数年、大騒ぎをして逮捕される新成人がでるなど、成人式のあり方が大きな話題になっています。このホームページでも、ずっと関心を持ちつづけてきました。
新成人大暴れ !? の 心理 2001 (目立ちたい・大人になること・マスコミ報道)
新成人大暴れ !? の 心理 2002 (大暴れの心理・大暴れされる側の心理・沖縄の成人式と報道・乱暴者に負けないために)
これまでにも書いてきたように、騒ぐ新成人たちの心理は、基本的には「目立ちたい」「注目されたい」でしょう。もう少し、深層心理的な言い方をすれば、「愛されたい」のだと思います。(詳しくは、2001年版 2002年版をご覧ください。)
(補足2007.1.9:今年の成人式では、良いニュースとして、夕張市の成人式が取り上げられていました。がんばる新成人、支える大人たちのという良いお手本だと思います。その一方、成人式とは別の話題ですが20歳の妹が21歳の兄に残虐に殺される事件が大きく報道されていますね。女子短大生遺体切断事件の犯罪心理学)
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2003成人式の新企画
参加型
これまでの方式では、新成人たちの心に響かないと、各自治体がこの数年様々な取り組みを始めています。その大きな柱が「参加型」ということです。企画の段階で新成人たちが参加することも行われています。また報道によると、今年は成人式そのものをこれまでよりも大幅に「参加型」にしようという企画もあります。
仙台市では、ステージをできるだけ使わないで「参加型の成人式」を行おうとしています。例年どおりの式典の後は、舞台上からのアトラクションを止めて、観客席のフロアに「新成人が参加できる」コーナーを作っりました。成人式のテーマは、「昨日(これまで)の自分、今日(いま)の自分、明日(これから)の自分」です。* 怖い?
那覇市では、昨年大騒ぎが起こり、今年は会場を分散して、開催されます。マスコミからは、「新成人1か所に集めると怖い?」などと報道されてしまっています。* 工夫する姿勢
具体的にどのような成人式にしたら良いのかは、様々な工夫が考えられます。「参加型」は、一つのとてもよい方法でしょう。そして、様々な工夫をみんなですることそれ自体が、大切だと思います。那覇市の試みも、一つの方法です。実際に、大騒ぎを防止する効果もあるかもしれません。しかし、「新成人を1ヶ所に集めると怖いから」という発想は、間違っていると思います。
そのような逃げの姿勢ではなくて、より良い成人式にするための積極的な工夫として、様々な試みを行っていきましょう。マスコミにも、ぜひそういうアピールを行っていってほしいと思います。
怒りと悲しみ
悪いことをしてでも、目立ちたい、愛されたいという心。それに対して、大騒ぎを力づくでも止めようとする社会の力。昨年のニュース映像を見ていても、青年たちの「怒り」を感じます。もちろん、彼らの行動は間違っています。悪に対して、断固とした態度をとることももちろん必要です。
しかし、多くの場合、「怒り」の感情の裏には、「悲しみ」があると思います。
カウンセリング的に見ると、この悲しみの感情は、相手が無視したり、下手に怖がったりして、しっかりと受け止めることをしないと、ますます燃え上がることがあります。心の底で、ますます悲しみが大きくなり、表面上の感情ではさらに怒りが爆発し、激しい言動が出てきます。
自分がこれほど必死になっているのに、だれも本気で受け止めてくれないと感じてしまうのです。*
成人式の様々な工夫は、悪くてだめな新成人を押さえつけるためのものではなく、まだ未完成で荒削りだけれども、すばらしい可能性をもった新成人たちへの、歓迎のしるしにしたいと思うのです。
今年2003の新成人は、「あの14歳」、「あの17歳」
1997年、神戸小学生殺害事件。酒鬼薔薇(さかきばら)を名乗る14歳の少年が、小学生を殺害し、その首を校門の上にさらした事件。これは、とてつもないインパクトを社会に与えました。恐ろしい猟奇殺人事件が発生し、さらにその犯人が14歳の少年だったと判明したときの衝撃。
大人にも、子どもにも、大きなショックを与えました。私の知り合いで、当時同じ14歳だった少女は、テレビのニュースで犯人が14歳だと知ったとき、がたがたと震え、ショックで泣き出してしまいました。この事件は、日本の犯罪史に残る大事件であり、社会全体に大きな影響を与えました。
たとえば、この事件がなければ、スクールカウンセラーの制度成立はもっと遅くなっていたかもしれません。少年法の改正もなかったかもしれません。思えば、この事件をきっかけにして、子どもの心のケアという声が大きくなり、そして、子どもを甘やかすなという大合唱も始まってしまったように思います。
3年後の、2000年。あの時の14歳たちが17歳になったとき、今度は、連続する17歳の少年事件が大きくクローズアップされました。
* 17才、主婦刺殺事件(「殺す体験がしたかった」) 17才、バスジャック殺人事件 17歳、岡山バット母親殺人事件(自転車で16日間逃走) 17歳 新宿ビデオ店爆破事件 17歳 渋谷金属バット殴打事件 * 『なぜ、少年は犯罪に走ったのか』(このホームペーjから生まれた本。連続した17歳の事件を解説)
この年、少年法が厳罰化の方向で改正されました。*
そして、さらに3年後の今年2003年。彼らは二十歳になりました。
もちろん、この新成人たちが、少年時代から特別に悪かったということはありません。統計的に見ても、特に少年凶悪犯罪が多かったわけでもありません。たまたま、マスコミが大きく注目するような事件が続いてしまっただけです。
そうはいっても、14歳のとき、17歳のとき、彼らが受けたっショックは大きかったでしょうし、その時々に、「近頃の子どもは」「近頃の少年は」と非難の目を向けられたことでしょう。 自分のせいではないのに。 その意味では、不運でした。
さて、ほんのごく一部が大きな事件を起こしたものの、青年たちのほとんどは、他の大と同じように、すばらしい人々です。
* 成人式を迎え、大人になる皆さんへ。
大人の世界へようこそ。大人の世界も、そんなに悪いわけではありませんよ。あなたを大歓迎します。
一緒に、良い社会を作っていきましょう。
(こうして、どの世代の子どもたちも、大人になっていくのですね)
少年犯罪と成人式での大暴れ
モラルの低下
少年による凶悪事件は、長期的に見れば増えるどことか、むしろ激減しています。 統計から見た少年殺人犯の推移
むしろ問題は、普通の子どもたちのモラルの低下でしょう。飲酒、喫煙、万引き、自転車泥棒、売春(援助交際)など、以前なら「非行少年」たちの仕業だったものが、一般の子どもたちにも広がってしまっています。
人が話しているときには、黙って静かに聞くべきだという考えをすでに持っていない少年たちもいます。
またそういう我慢や訓練を受けていない子達もいます。
こういう子どもたちが、二十歳になったからといって、社会人としてのルールに簡単には従ってくれないでしょう。*
自信喪失
一見、大胆でふてぶてしいほどの現代の少年たちですが、様々な調査からは、彼らが自信を無くしていることがよく分かります。
日本の子どもたちは、諸外国と比べて、勉強もできるし、犯罪も起こさないし、良い子達なのですが、自分たち自身では、勉強ができない、悪い子だと思い込んでいます。
特に問題を起こす子達、非行少年たちは、劣等感の強い人たちです。
自己確認型非行
少年非行は、貧しさゆえの「生活型非行」から、スリルを求めての「遊び方非行」となり、さらに「自己確認型非行」へと移っていきました。悪いことをしているときだけ、生きている実感があるなどと語る少年たちです。
大人が悪いことをするときには、普通は隠れてします。警察がいたり、テレビカメラがあるところで、わざわざ悪いことはしません。
でも、成人式でおお暴れしている人たちを見ると、正反対です。もっと自分に注目してくれと叫んでいるようです。
「ふつう」ではいやだと感じてします。それは、現代の一つの病理かもしれません。芸能人のようになりたい、普通の事務仕事はいやだ、たとえ悪いことでも目立ちたい、そんなふうに思ってしまいます。
けれども本当は、普通に生きている一人一人が、すばらしい、かけがえのない存在です。
新成人の皆さんへ
大丈夫。あなたは今のままですばらしい存在です。無茶なことをしなくても、ちゃんと注目してくれる人がいるし、愛してくれる人がいます。社会の中で、君の役割があるはずです。君の活躍を待っていてくれる人がいます。
成人式おめでとう。
大人の世界へようこそ。
大歓迎だよ。
(13日成人式当日の出来事とその報道に基づく新ページ更新を準備中。1.14)
☆ 当サイト内の関連ページ ☆
○新成人大暴れ !? の 心理(2001)
○新成人大暴れ !? の 心理 2002
○犯罪心理学・心の闇と光
○こころの発達2(青年期の心理)
*上記本文中でもご紹介いたしました。
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