親殺しの心理・遺体切断、快楽殺人の心理
「死体を切断して飾ってみたかった」
2007.5.16〜5.21
その2:スクールトラウマ:傷ついた学校と生徒の心のケア5.21
2007年5月15日朝、会津若松市内の高校3年生17歳の男子生徒が、母親を殺害したいと警察に自首してきた。彼は、切断した母親の頭部をバックに入れて持参してきた。
少年は、県内でも有数の進学校の生徒。中学時代は、スポーツでも活躍していた。現在は、弟とともに通学のため実家を離れ、アパート暮らしをしていた。母親は、掃除洗濯などのために、しばしば息子の部屋を訪問していた。
少年は、成績は中の上だったが、昨年秋から不登校ぎみになり、修学旅行も不参加。3年生になってからほとんど登校していない。「友達の中に入るのが苦手で無口」と語る生徒もいる。精神科でも受診をしているが、精神的に不安定になっているのであまり登校を強制しないようにとのアドバイスを受けていた。
今日(5/16)までの報道によると、少年は「殺すのは誰でも良かった」と供述している。母親に対する特別な恨みなどはないという。警察では取り乱した様子もなく、質問に対しても「別に・・・」などと答えているという。
また遺体切断に使ったのこぎりを事前に購入していたらしい。さらに今日の報道によると、母親の右腕も切断し、白い塗料を塗った上で、植木鉢にさしていたという。
事件が発生した5/15は、母親の47歳の誕生日だった。 (2007.5.19)
*
その後の報道によると、少年はネットカフェに行く前に、母親の頭部が入ったバッグを自転車のカゴに入れたまま、カラオケによっていたという。さらに、少年は次のように供述している。
「もっと(母親の遺体を)バラバラにするつもりだったが、ノコギリで切断する音が大きく、(同居の)弟に気づかれると思ってやめた」
「死体を切断して飾ってみたかった」
「グロテスクなものが好きだ」
「母親は好きでも嫌いでもない。恨みはない」
「(殺害するのは)弟でも良かったが、たまたま母親が泊まりに来た」
「遺体を切断してみたかった。だから殺した。だれでもよかった」
(2007.5.19)
少年による親の殺害事件はあります。遺体を切断する事件もあります。しかし、今回は親を殺害し、遺体を切断すした珍しい事例です。
とてつもない悪い親、暴君のような親を殺す例もありますが、多くの親殺しは、中流以上の良い家庭で起きています。教育熱心な親、評判の良い子どもの間で起きます。
「悪い子」は、親を殺しても何の得もありませんので、殺したりせず、親のすねをかじろう、利用し続けようとするでしょう。
そんなずるがしこさもない子どもたちが、親からの強いプレッシャーに負け、親に飲み込まれるような不安の中、上手に反発することもできず、親から自由になるには親を殺すしかないと思い込むのが、一般的な親殺しの心理です。
普通の子どもは、親を憎んでも、同時に、自分を愛してくれていることも感じています。しかし、親を殺す少年たちは、悪い親のイメージと良い親のイメージが分離し、悪い親のイメージだけが頭の中に広がり、殺意が芽生えるといわれています。
また、今回の事件でもそうですが、少年たちは親の殺害後、音楽を聞いたり、映画を見たりしています。常識的には考えられない行動ですが、少年たちにとっては、自分の頭の上の巨大な岩を自分の力で取り除けたような達成感を感じるようです。
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最も多い理由は、遺体の処理のためです。身元をわからなくする、あるいは重くて運びにくい遺体を切り分けるという理由です。
そのほか、強い憎しみのために遺体を傷つけることがあります。逆に、被害者を愛し、自分のものにしたいために遺体を切断し、遺体の一部を保存する、持ち歩くことがあります。
強い恐怖心のために遺体を切断することもあります。生き返ることを防ぐために、頭部を切断することもあります。
暴力、殺人、遺体を傷つけることに、快感を感じて行なうこともあります(快楽殺人。
さらに、特殊な妄想的な思いを持って、遺体を切断することもあります。
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第一報を聞いたときには、上記の親殺しの心理と、遺体切断の心理の複合的な犯罪ではないかと、感じました。
しかし、その後の彼の供述と、右腕も切断していることから、一般的な親殺しに見られる親子の葛藤は本当になかったのかもしれないとも感じています。妄想的なものもあったのかもしれません。
「殺すのは誰でも良かった」という供述が本当であれば、2000年に発生した17歳による豊川主婦殺人事件のように、「殺す体験がしたかった」という、純粋殺人、好奇心による殺人とも考えられるかもしれません。この事件の犯人も優秀な少年でした。
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あるいは、埼玉の連続幼女殺人事件のような精神的病理があった可能性、高校になってから妄想を伴うような精神的な病気を発病した可能性など、いろいろと考えられます。
親子の葛藤というよりは、好奇心による親殺しとしては、有名なグレアムヤングの母親毒殺事件があります。日本でもその模倣犯とも思える事件も起きています。(2007.5.16)
*
その後の報道(もっと切り刻み飾りたかった)から判断すると、さらに快楽殺人的な要素を感じます。(5.19)
このような最新の報道に基づくページ「快楽殺人の心理・現地を訪問して」のアップを準備中です。
昨日(5.18)は、TBSの方とともに現地へ行き、少年の実家の周囲の方々にお話を伺いました。このときの様子は、5.19朝の「サタデーずばッと」で放送されましが、実際に現地をおとすれての感想もページ上でアップしていきたいと思います。(5.19)
→その2:スクールトラウマ:傷ついた学校と生徒の心のケア5.21
(少年が通う高校が5.21授業再開)
BOOKS
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・被害者のご冥福をお祈りしています。
・事件のために傷ついているご家族ご親戚、地域の方々、学校の方々、その他たくさんの人々の癒しをお祈りいたします。
2008年9月緊急発行 『誰でもいいから殺したかった! 追い詰められた青少年の心理』 |
2008年8月発行 『人間関係がうまくいく図解嘘の正しい使い方:ホンネとタテマエを自在にあやつる!心理法則 』 |
2000年 『なぜ少年は犯罪に走ったのか』 |
2001年 『ふつうの家庭から生まれる犯罪者』 |
2000年 『なぜ少女は逃げなかったのか:続出する特異事件の心理学』 |
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「誰でもいいから殺したかった青年は、誰でもいいから愛してほしかったのかもしれない。」 ☆愛される親になるための処方箋 本書について(目次等) |
・ 『ブクログ』書評「〜この逆説的かつ現実的な取り上げ方が非常に面白い。」 ・追い詰めない叱り方。上手な愛の伝え方 本書について(目次等) |
bk1書評「本書は,犯罪に走った子ども達の内面に迫り,心理学的観点で綴っていること,しかも冷静に分析している点で異色であり,注目に値する。」 本書について | 「あなたは、子どもを体当たりで愛していますか?力いっぱい、抱きしめていますか?」 本書について | 「少女は逃げなかったのではなく、逃げられなかった。それでも少女は勇気と希望を失わなかった。」 本書について |
その2:スクールトラウマ:傷ついた学校と生徒の心のケア5.2
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