流言・デマ・噂心理学 総合案内 こころの散歩道 (心理学講座/災害心理学東日本大震災の災害心理学癒しと臨床心理学入門/流言/(新潟青陵大学碓井真史

災害時の流言(デマ)

流言の心理・広がる原因・対策

2011.3.26


流言とは

流言とは、正確ではないのに、口コミを通して広がっていいくことがらです。流言は、だれかがわざと広げようとしているのではありません。広げている人に悪意はなく、確信している場合もありますし、半信半疑ながら話題に出して、結果的に広がっていくこともあります。
様々な災害等で流言が生まれていますが、調査によれば、50〜80パーセントの人が、信じた、または半信半疑だったと答えています。

デマとは

デマとは、誰かが意図的に本当ではないとわかっていて広げていくものです。(ただし、流言という意味でデマという言葉が使われてしまうこともあります)

流言が広がる理由・流言と地震

流言が発生し、広がる条件として次の3つがあります。
  1. 重要であること。たとえば、命や財産にかかわるような重要なことであるほど、流言は発生しやすくなります。
     
  2. あいまいさ。はっきり分かっていることは流言が起きにくいのですが、良く分からない事柄に関して、流言は発生しやすくなります。
     
  3. 不安。人々の不安が高いほど、流言は発生し、広がっていきます。
     

地震・原発事故と流言

様々な災害の中でも、もっとも流言が起きやすいのが、地震災害です。地震の時に流言が出やすい理由は、他の災害とは違う次のような特徴があるからです。
  1. 災害の範囲が広い。広い範囲で、情報網やライフラインが分断され、正常な社会システムが失われます。このような状況で、人々が不安になり、流言が広がりやすい「流言集団」が出来上がってしまいます。
     
  2. 災害の反復性。地震は、実際に何度も余震がやってきます。そこで、大きな余震が来ると言った流言が発生しくなります。
     
  3. 情報の過剰。大きな地震は社会の注目度が高く、膨大な報道がなされます。マスコミからの情報が正しい情報だとしても、多すぎる情報の嵐が、「流言の種」を作りだしてしまうことがあるのです。
     
原発事故に関しても、地震と同じ面があるでしょう。東日本大震災の福島原発事故に関しても、被害範囲はとても広く、何度も建屋の爆発や煙の発生などがあり、そして膨大な報道がされています。
原発事故も、地震と同様、流言が発生しやすい災害と言えるでしょう。

流言の心理

悪意もないのに、楽しくない不安にさせるような流言が、なぜ広がっていくのでしょう。それは、いくつかの人間心理がからんでいます。
  1. 情報欲求の高まり。人々は、災害の中で、危険を避け、そして役に立つ情報をほしがっています。情報欲求の高まりが、正確な情報の収集にとどまらないで、不正確な情報である流言を広めてしまう結果を生んでしまいます。
     
  2. 伝達欲求の高まり。人は自分が知った新しい情報を人に伝えたいと思います。善意ではありますが、それが流言を広めます。また、人は不安を共有したいと思います。おしゃべりは、ストレス解消になります。またカウンセリングマインドを持って人の話を聞くことは、とても良いことす。しかし時に、伝達欲求による行為が、流言を広めす。
     
  3. 不安感情の正当化。大災害が発生し、人々は不安がっています。この自分の「不安」を、不安がっていても良いのだと人は思いたいのです。そこで、自分が不安がっても当然だと思えるような、不安になる話(流言)を広めてしまうことがあります。(認知的不協和理論
     
  4. 興奮状態によるチェック不足。災害発生時、人々は普段よりも冷静さを失い、一緒の興奮状態になります。普段なら、疑ったり、真偽をチェックできたりするのに、その心の余裕がないまま、聞いた話をすぐに人に伝えてしまうために、流言が広まります。


 


流言の現代的問題(東日本大震災・インターネット・ツイッター)

2011年3月11日に発生した未曾有の大地震、東北地方太平洋沖地震(東日本大震災)は、とても広い範囲で、非常に大きな被害を察性差させました。地震、津波、原発事故、日本中を巻き込む物不足が発生しました。
その中で、被災地での流言、日本中での風評被害が報告されています。
さらに、今回の大震災では、インターネットが有益に活用された反面、誤ったチェーンメールや、ツイッターなどインターネット上の不正確な情報の広がりなど、今までにない流言の問題も発生しています。
実は、近年の災害における流言は、多くの場合大きな被害を起こしていません。人々はそれほどおらかではなく、パニックを起こす前に流言の情報をテレビ、ラジオなどのマスメディアで確認をしていました。
しかし、これからも同じだとは言い切れません。メール、ツイッターなど、インターネットを通して、今までの口コミとは比較にならない早さで、流言が広がっていく恐れがあるからです。私たちは、流言に十分注意しなくてはなりません。
そのためには、人間が インターネットでどんな行動をとりやすいのかを、理解する必要があるでしょう。
> インターネット心理学:より良いネットコミュニケーションのために
ウェブマスター(碓井)のツイッター
インターネットではなぜデマ(流言)が広がるのか:ネットの心理メカニズム(LINEでの嘘情報拡散)
Yahoo!ニュース「碓井真史の心理学でお散歩」2013.5.9

流言を防止するために

流言を防止するためには、次のような対策が必要です。
  1. 政府、行政が、災害発生後でいるだけ早く、マスメディアを使って、正しい情報を発信し続けること。また、情報の真偽の確かめ方を明示すること。情報が遅い、少ない場合に、流言は広がりやすくなります。
     
  2. 避難所など、人々が集まる場所では、心が安らぐような、明るく、前向きな、癒しの情報を伝える。もちろんウソはだめですが、感動的な救出劇や、進んでいる復興作業などの情報で、不安を下げることで、流言の発生を抑えます。
     
  3. これは、災害が起きてからでは遅いのですが、普段から正しい防災情報を学んでおくことです。
     
電子メールや、ツイッターなどインターネットを使う人は、特に情報をチェックしてから人に伝えることの大切さを、考えましょう。正しい情報は伝えましょう。でも、あなたが流言のもとになってしまってはいけません。間違ったうわさを広げてはいけません。
災害は起きてしまいました。地震や津波は天災です。しかし、災害後の混乱を避けるのは、人間の責任ではないでしょうか。情報を正しく伝えて、みんなの力で復興を進めて行きたいと思います。
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参考『自然災害の行動科学 』12章災害時流言(橋元良明師)

風評被害の社会心理学:みんなで野菜を食べよう
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パニックの心理学:協力して困難を乗り切ろう。
災害時のマスコミの役割:正しい情報、役立つ情報、明るい情報を
ウェブマスター(碓井)のツイッター
インターネットではなぜデマ(流言)が広がるのか:ネットの心理メカニズム(LINEでの嘘情報拡散) Yahoo!ニュース「碓井真史の心理学でお散歩」2013.5.9



 


 

ウェブマスターの本『あなたが死んだら私は悲しい:心理学者からのいのちのメッセージ』
 

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