心理学 総合案内 こころの散歩道 (心理学講座/災害心理学東日本大震災の災害心理学/避難所生活トイレ・仮設トイレ新潟青陵大学碓井真史

避難所のトイレ・仮設トイレ:問題と工夫:心と体のために

東日本大震災(東北地方太平洋沖地震・東北関東大震災)を生き抜いたあなたのために

2011.3.15
(3.31加筆:トイレ・体・心)


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災害時のトイレ・仮設トイレを考える

阪神大震災のときも、新潟県中越地震でも、避難所でのトイレ不足は深刻でした。数が足りません。長い行列できます。水が出ません。最初はプールの水をバケツですくって使っていましたが、それもすぐになくなりました。
日本では大人一人が、1日60リットルの水をトイレのために使用するといいます。現代の便利で清潔なトイレになれている私たちには、トイレの不便さは、とても辛いことになります。トイレが心配で食事を控える人もいます。
ある若い女性は、「食事はおにぎりだけでもいいからトイレを何とかしてほしい」と言っていました。

阪神大震災の時には、子どもなどは(時には大人も)、トイレ以外のところで用をたしてしまい、不衛生であり、避難所に悪臭が漂うこともあったそうです。中越地震の時は、人口も少なく土地も広かったため、そこまでの話は聞きませんでした。トイレの深刻度も、阪神淡路ほどではなかったようです。
とはいえ、どうでしょう。どこかの観光地に行って、女性たちは平気で仮設トイレを使っているでしょうか。できれば、少し遠くても、普通のトイレを使いたがるでしょう。
阪神淡路大震災の時には、その仮設トイレさえまったく数が足りませんでした。

そこで、阪神大震災のときには、次のような工夫が見られました。

手作りトイレ

○溝を掘り、足場と囲いを作っただけのトイレ。いっぱいになれば、埋めて場所を移動。(ただし、上手く掘れなかったり、掘る場所がなかなか見つからないこともあります。)
○下水につながるマンホールのフタをはずし、足場を作ったトイレ。なかなか好評だった。
○.缶などの容器に便座をつけてトイレにした。

水が足りない水洗トイレの工夫

○新聞紙を便器におき、用がすめば二重にしたゴミ袋に入れて捨てる。
○水の節約のために、拭いた紙は別の場所に捨てる。

避難所のトイレをきれいにする工夫。

少しでも快適になるように、当番を決めて掃除する。
避難者に、清潔なトイレの使い方について十分に説明する。

(数が足らない、水が流れないといった状態で、多くの人がいたしかたなく無理に用をたす、そういう災害発生時のトイレは、はげしく汚れてしまいます。)

その他の注意

○最初の段階で、無理な使い方をして詰まらせてしまった水洗トイレが、一ヵ月後使用不可能のままだったという例もあります。
○仮設トイレは、途中で棒でならせばまだまだ使えるのに、正しい使い方をしらずに、満杯にしてしまったケースも多かったそうです。
○仮設トイレは、ほとんど和式で、段差も大きく、高齢者や障害者には辛いものでした。
○トイレ自体の機能としては問題がなくとも、仮設トイレの置き方、置く場所などにより、プライバシーの問題も起こりました。

貴重な避難所のトイレ

避難所の施設内にもともとあるトイレを、最初から気をつけてきれいに使えば、ずっときれいなまま使えます。これは、貴重な男女別のプライバシーが守られる場所です。更衣室にも使えます。
最初の使い方が悪いと、悲惨な状況になり、とても更衣室に使えなくなります。さらに、上記のように、無理な使い方をした結果、水道が復旧したのに、トイレが使えない避難所さえありました。
より良い避難所生活のためには、スタートが肝心です。

トイレ・体・衛生・心の問題

3.31の報道「避難所トイレ4割に問題 被災者の感染症増加」。このままでは感染症流行の恐れもあるということです。
簡易トイレも足りず、バキュームカーも足りず汚物があふれているところもあります。下周処理場も被害を受けています。避難所施設にもともとあったトイレも、下水があふれたり、汚れたりしています。女性の中にはトイレを我慢しすぎて膀胱炎になる人も出ています。
簡易トイレの使いかた、水の中れない施設内トイレの使い方、そして「簡易トイレ」(きちんとしたものから、段ボールで作ったものまで)があるとしても、どのように心の負担を軽くするか。心の問題が解決できないと、体の問題にも発展します。
3.31の報道写真には、避難所体育館の中に設置された段ボールの簡易トイレの写真がありました。これを使うのは、精神的にかなり辛そうです。
阪神大震災の時は、マンホールのところに作ったトイレとか、ただ溝を掘っただけトイレなどもあり、人によっては、だんだん慣れてきたという人もいました。一方、きちんとした簡易トイレだけれども、置き場所等によって、入りにくいという意見も、阪神や中越で聞こえてきました。
トイレが立派かどうかだけではなく、出入りがみんなから見れるかとか、異性の目があるかなど、心の負担を軽くする工夫ができればと思います。
各避難所では、精いっぱいのことが行われえいることとは思いますが、高齢者のみなさん、女性のみなさん、どうぞ声をあげてください。みんなで協力して、よりよいトイレ、よりよい避難所ができますように。
2011.3.31報道「避難所トイレ4割に問題 被災者の感染症増加」
(3.31補足) 
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より良い避難所生活のために



 


BOOKS

阪神大震災トイレパニック―神戸市環境局ボランティアの奮戦記

あのとき避難所は―阪神・淡路大震災のリーダーたち
瓦礫の中のほおずき―避難所となった小学校の一教師の体験
中越地震に関する本

ウェブマスターの本『あなたが死んだら私は悲しい:心理学者からのいのちのメッセージ』

リンク

災害時のトイレ

阪神大震災とトイレ

断水、停電時のトイレの使用法 

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