クリスチャン心理学者として:心理学 総合案内 こころの散歩道 (心理学講座/災害心理学/東北地方太平洋沖地震の災害心理学・癒しと臨床心理学入門/東日本大震災への個人的思い/(新潟青陵大学井真史)
執筆2011.3.18(ページアップ2011.5.2)
下記の文章は震災の一週間後に書いた原稿で、クリスチャン新聞福音版2011年5月号に掲載されたものです。
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不幸はいつも劇的に突然やってきます。3月11日、巨大な地震と津波が東日本を襲いました。1万5千人以上の死者行方不明者と、今報道されています。被害は東北だけではなく東京にも及び、災害を受けた人は、5千万人ともいわれています。
何の誇張もなく、未曾有の大災害です。
なぜ、こんなことが起きてしまうのでしょう。何か気のきいた説明がしたいとも思うのですが、この圧倒的なリアリティーを前にして、言葉を失います。数字だけではわからない、一人ひとりのどれほど大きな悲劇が起きていることでしょう。
慰めの言葉もみつかりません。ただ、私はいくつかの事実をお示ししたいと思います。三陸海岸のみなさんは、今までに幾度も津波の被害を受けています。でも、そのたびに復興してきました。何と強い、不屈の精神でしょう。関東大震災の時も、阪神淡路大震災の時も、中越地震の時も、私たちは復興してきました。
家や道路が再建されただけではありません。人々に笑顔が戻り、新しい生活が始まっています。今、世界に祈りの輪が広がっています。「Pray for Japan」(日本のために祈ろう)の言葉のもと、日本は祈りに包まれています。
祈りなど、何の足しにもならないでしょうか。いいえ、たとえば、祈られている人は病気の治りが良いという研究もあるほどです。そして、真の祈りは行動が伴います。国連のコメントです。「日本は今まで世界中に援助をしてきた援助大国だ。今回は国連が全力で日本を援助する。」
日本中が、世界中が、被災地の人々を支援する活動を始めています。真の行動には祈りが伴います。寄付された1ドルに、ボランティアの汗の一滴に、少しでも役に立ちたいという愛と祈りが込められているはずです。
心理学の研究によると、人が不幸になるのは、不幸な出来事が起きたからではありません。出来事を不幸だと解釈し、孤独と無力感に陥る時、人は不幸になっていきます。もちろん、起きてしまった現実はどうしようもありません。失った大切な人は戻ってこないでしょう。
とても悲しく、とても寂しい。今は世界が色を失い、誰の声も聞こえないとしても、当然です。それでもあなたは、幸せになれます。自然災害を前にして、人間の死を前にして、人は無力です。けれども、今この困難にみんなと一緒に取り組んでいるあなたは、決して無力ではありません。一人ではありません。
悲しい時は泣きましょう。でも、一人では泣かないで。悲しみは必要です。でも悲しみに飲み込まれないで。あなたのために祈っている人がいます。あなたのために一緒に泣いている人がいます。神は、吹き荒れる嵐の中、静かに、そして力強く、あなたを愛し続けています。
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