水道水パニック:心理学 総合案内 こころの散歩道 (心理学講座/災害心理学東日本大震災の災害心理学/水道水パニック新潟青陵大学碓井真史

防げ!水道水パニック

みんなで赤ちゃんを守ろう

2011.3.23


パニックとは

パニックとは、大きな恐怖や不安、ストレスによって引き起こされた群集の混乱した殺到行動や、避難行動、また混乱した心の状態のことをいいます。
起きてしまった天災や事件事故は、どうしようもない点がありますけれども、本来ならそれ以上誰も傷つく必要がなかったのに、パニックによってさらに被害が広がってしまうとすれば、とても残念です
災害は、人間のせいではありませんが、災害がのパニックは人間の責任です。
「水道水が放射性物質で汚染」というニュースは、確かにショッキングです。乳児、赤ちゃんに影響があるとすれば、なおさらです。でも、だからこそ、みんなで冷静で適切な行動をとりたいと思います。
パニックの心理学

パニックになると、何が起こるか

タイタニック号の映画を思い出して下さい。あの状況はたしかにパニックが起こりやすい状況でした。命がかかっている。ボートは足らないという状況です。パニックが起きて、大混乱になったのは、ご存じのとおりです。
パニックにならなくても、全員は助からなかったでしょう。でも、パニックにならなければ、もっと多くの人が助かったでしょう。パニックは、被害を大きくします。

パニックを生む心理

命がかかっている。助かる道はあるが、数が限られている。早い者勝ちである。不安がどんどん大きくなる。こんな状況で、人はパニックになります。
東京の水道水はどうでしょう。もちろん、乳児が飲むのはやめましょう。
でも、今赤ちゃんが一口飲んだら、命にかかわるでしょうか。そうは言わなくても、健康を害するでしょうか。あるいは、数十年後の健康にかかわるでしょうか。
いいえ、そんなことはありません。
もちろん、飲ませない方がよい、でも今日明日水道水を飲んだからといって、わたしの赤ちゃんの健康には何の影響もない、そういう心の余裕が必要です。
ペットボトルの水を買いに行く時も、万が一売り切れだった時も、お母さんお父さんの、心の余裕が必要です。
赤ちゃんと歩いていたら、向こうからタバコを吸いながら歩いている人が来た。やめてほしいと思います。でも、だからと言って、赤ちゃんの口を押さえて周囲も見ずに一目散で逃げ出したりしたら、かえって危険です。
タバコの煙は良くない。でも、あわてて走るのもよくない。周囲を良く見て、落ち着いて行動しましょう。

みんなが殺到して買い占めたら

そうはいっても、誰かが大慌てで買い占めに走ったらどうでしょうか。そんな人を見て、他の人も買い占めに走ったらどうでしょうか。一生懸命落ち着くと思っている人も、そんな人の様子を見、空っぽの商品棚を見れば、不安が大きくなります。不安が広がれば、パニック買いがさらに広がります。
パニックを起こすのは、「自分だけ助かればよい」という心理です。もちろん、自分と自分の家族が助かることは大事です。でも、自分だけが助かろうと思って、パニックが発生すると、自分たちまで助かりません。みんなで協力しましょう。
同じ町の赤ちゃんは、あなたの赤ちゃんと同じ保育園に行き、学校へ行くでしょう。親友になり、結婚する相手にもなるかもしれません。あなたの赤ちゃんの未来の仲間たちを、苦しめないでください。
大丈夫だとは言っても、何日も安全な水が手に入らなければ、不安にもなるでしょう。お母さんたちを不安にしないでください。

政府やマスコミ、お店ができること

パニックを防ぐためには、正確な情報を出し続けることです。何かを隠しているのではないかと人々が思ってしまえば、パニックが起きやすくなります。
あいまいな情報は不安を高め、パニックを引き起こします。わかりやすくはっきりと伝えてください。
人は、見通しがないことが不安です。これからどうなるのか、見通しを示してください。
お店は、言ってみれば、船員さんです。タイタニックのようなことは今回は絶対起きないのですから、後はパニックを起こすきっかけを作らないように、お客さんをリードしてください。適切なルールを作ってください。不安を高めるようなことはやめてください。
災害時のマスコミの役割も重要です。正確な情報を。そして、空っぽの棚、行列、不安がっている人の街頭インタビューなどを、必要以上に流さないでください。
あなたの努力が、赤ちゃんと家族を守ります。
(東京都が乳児のいる家庭にペットボトルの水を配布:2011.3.23報道)

逃げ遅れず、パニックにもならず

安全でないものは避けましょう。安全なものは使いましょう。報道等で不安になり、安全なものまで使わない風評被害は、誰の得にもなりません。流言(間違った情報、うわさ)に踊らされないようにしましょう。
きちんと情報を得て、逃げ遅れがないように。でも、パニックになって走り出し、転んだりしないように。
総合的に情報を判断しましょう。総合的に考えて、自分の行動を決めましょう。
明日の入荷を待つ方がよいのか、今何時間でも並んだほうがよいのかは、ケース・バイ・ケースでしょう。親と子の心と体の健康を考えて、より良い方を選びましょう。
今の状況であれば、ペットボトルの水が手に入らないと言って、赤ん坊にミルクを与えないよりも、今日は水道水でミルクを与えたほうが良いのではないでしょうか。水道水を上げることより、脱水症状の方がはるかに危険です。
今日、水道水でミルクを作ったからといって、必要以上に、不安がる必要はありません。自分を責める必要もありません。あなたは、赤ちゃんのことをとても心配している、良いお母さんです。
それでも、何が何でも、どんなん犠牲を払ってでも、今、今日、ペットボトルの自然水を手に入れなければならない、そんな状況にはないと思います。
粉ミルクはミネラルウォーターで作らないで:明治乳業
逃げ遅れの心理学
風評被害の社会心理学
災害が起きた時の流言

みんなで赤ちゃんを守ろう

みんなで赤ちゃんを守りましょう。みんなで、赤ちゃんのお母さん、お父さんを守りましょう。お父さんも、お母さんを守りましょう。お母さんが落ち着き元気を出すことが、赤ちゃんを守ることにもつながります。
みんなで、お父さん、お母さんを、守りましょう。それが、赤ちゃんを守ることにつながります。
この年に生まれた赤ちゃんは、不運だった赤ちゃんではなく、みんなに守られて育った素晴らしい赤ちゃんたちだったと、後の人たちが言いますように。
東日本大震災の年に生まれた赤ちゃんは、ラッキーだったと、家族もみんなも思えますように。大きな危機は、大きな心の成長を生みます(ポスト・トラウマティック・グロース:外傷後成長
今、日本は一つになっているはずです。みんなで節電し、みんなで避難者を受け入れ、みんなで寄付をし、みんなが自分のできることをしています。
買い占めパニックを起こさず、赤ちゃんとその家族をみんなで守ることも、できるはずです。
「みんなで」という思いが、パニックを防ぎ、みんなの幸せを作ります。
 
乳幼児の心理〜児童期の心理(元気で健康な子どもを育てよう)
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風評被害の社会心理学:みんなで北関東の野菜を食べよう

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パニックの心理―群集の恐怖と狂気 (講談社現代新書 364)
『どんな災害も免れる処方箋 疑似体験「知的ワクチン」の効能 (講談社プラスアルファ新書)』


東北地方太平洋沖地震(東日本大震災)の災害心理学
 
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