心理学 総合案内 こころの散歩道 (心理学講座/災害心理学東日本大震災の災害心理学/死別・喪の作業新潟青陵大学碓井真史

災害時の心のケア:喪の作業

東日本大震災でご家族ご友人を亡くされた方々へ

2011.3.15


心から哀悼の意をお捧げいたします

本来なら、何も申し上げることができません。ただ、うなだれるだけです。
テレビに映る巨大で衝撃的な出来事の中で、お一人お一人のどれほど悲しい出来事があったことでしょう。言葉もございません。
でも、それでも(と書きながら心苦しくはあっても)、あなたは生きています。辛くとも生きています。あなたは、死別の苦しみを乗り越えて、生きていきます。
今は、悲しみの底かもしれません。何も考えられず、ただ泣くだけかもしれません。泣きながら棺にしがみつき、崩れ落ちているかもしれません。いえ、棺すらないのかもしれません。すがりつくご遺体すらないのかもしれません。

もしかしたら、泣くことすらできない方もいらっしゃるかもしれません。泣くことすらできなかった方が、泣くことができるようになり、語れなかった方が語れるようにきっとなるのでしょう。時間はかかるかもしれませんが。
とてつもなく悲しいとき、 どうしようもなく落ち込むときは、泣くしかありません。落ち込むしかありません。それが当然です。それで良いと思います。
そうして、その深い深い悲しみの向こう側に、新しい何かがあると思うのです。

死別の悲しみを癒すための10の指針(『愛する人を亡くした時』、E.A.グロルマン , 日野原 重明 , 松田 敬一  著 )

決して、ただ元気になれと励ましているのではありません。お説教でもありません。あなたが今ほんの少しでも、悲しみを癒したいとお感じであれば、読んでみてください。死別の悲しみを癒すための10のポイントです。
1「どのような感情も受け入れる」。2「感情を表現する」。「3悲しみが一夜にして癒えるなどとは思わないように」・・・続きと詳細はこのページ
>>死別の悲しみを癒すための10の指針

喪の作業:悲しみをいやすグリーフ・ワーク

人はみな、愛する人との別れを経験します。この死別の深い悲しみを乗り越える作業を、喪の作業(グリーフ・ワーク)と言いま。これほどまでに、深く絶望的な思いを持った経験を、でも、多くの人がしているんですね。

悲嘆(グリーフ)

愛する人との死による別れを体験した人には、様々な巨大なストレスが降り注ぎます。死による喪失から生まれる深い心の苦しみをグリーフ(悲嘆)と呼んでいます。
悲しみを乗り越える、悲嘆のプロセスでは、はかり知れないほどの心と体のエネルギーが必要になってきます。時間もかかりますし、周囲の支えも必要です。

グリーフ・ワークの4つの課題

悲しみを乗り越えるとは:悲嘆の仕事(喪の作業、グリーフ・ワークgrief work)を成し遂げるための四つの課題、4つのハードル。
  1. 死別の現実を受け入れる
    亡くなったことは分かっているとはいえ、実感を持って受け入れるには時間がかかります。
     
  2. 死別の苦しみ、悲しみを受け入れる。つまり、しっかり悲しむ。悲しみ、苦しむことなしに、悲しみを乗り越えることはできない→とてつもなく悲しいとき、 どうしようもなく落ち込むとき
     
  3. 変化した環境に適応する。夫や妻のいない生活、子どもや親のいない生活に慣れていきます。徐々に、少しずつ。
     
  4. 亡くなった方に注いでいたエネルギーを、新たな方向に向け変える。
    長い時間の後ですが、亡くなった人のことばかり考えていた人が、新しい希望を持ち始める。このようにして、人は悲しみを乗り越えて行きます。
     
グリーフケアの本『“突然の死”とグリーフケア

喪の作業を成し遂げるためにかかる時間

*喪の作業、悲しみを乗り越える道のりにかかる時間は、妻や夫の場合で1〜2年、子どもの場合は2年〜5年と言われていますがが、大きな個人差と多様性があります。大災害の場合は、さらに複雑です。だからこそ、周囲の協力、ケアが必要です。あなたは、一人ではありません。あなたを助けてくれる人が、きっといます。Tweet
あなたも助け、支える人になろう

>>ご家族ご友人を亡くされた方をケアする人のために
>>死別の悲しみを癒すための10の指針



 


 


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グリーフケアの本『“突然の死”とグリーフケア

ウェブマスターの本『あなたが死んだら私は悲しい:心理学者からのいのちのメッセージ』
 

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