災害と子どもの心のケア・災害遊び心理学 総合案内 こころの散歩道 (心理学講座/災害心理学東日本大震災の災害心理学/子どもへの対応新潟青陵大学碓井真史

子どもの心のケア:災害で傷ついた子どものへの対応

子どもは遊びで癒される・みんなで子どもを守ろう赤ちゃんの発達心理学 イラスト

2011.3.19


 
 

災害後の「赤ちゃんがえり」や心身の不調:子どもに普通に見られる様々な状態

子どもたちも、強い不安と恐怖を感じ、様々な問題が出てきます。
無気力、暗闇への恐れ、夜尿(おねしょ)、悪夢、甘えや、わがままといった、いわゆる赤ちゃん返り(退行現象)などが見られます。思春期になれば、様々な体の不調、ひきこもりや、反抗的態度が見られることもあります。
時に人が変わったようにパニックになったり、突然あの時の恐怖が戻ってきたりもします。ささいなことでおびえ、ひきこもったり、無表情でぼうとしたりすることもあります。そうかと思うと、妙に興奮して、落ち着きがなくなったりすることもあります。
食欲不振、頭痛、腹痛、吐き気、めまいなどが襲ってくることもあります。
***
でも、子どもが悪い子、弱い子になったわけではありあません。親ごさんは、自分の子どもがずっとこのままだったらどうしようと心配しますが、そんなことはありません。
ほとんどの場合、周囲のあたたかな対応で、もとの元気で明るい子どもに戻っていきます。

(ただし、まれにこれらの状態が強く長く続いている場合には、PTSD の可能性もありますので、専門医に相談しましょう。しかしいずれにしても、最初の段階では、PTSDにならないためにも、このページにあるような配慮をしていきましょう。また、災害後特に注意すべき子どもたちもいます。
また、これらの状態全てが、ども子どもにも見られるわけでありません。子どもの個性、年齢、受けた被害などによって、様々です。
家族、避難所の人々、災害ボランティアなど、みんなの力で子どもを支えたいと思います。
発達心理学1.乳幼児の心理〜児童期の心理(こころの散歩道)
PTSD 心的外傷後ストレス障害(心の傷に負けないために)
子どもをPTSDから守ろう:災害後注意すべき子どもたち

子どもが災害ストレスに負けないように・心が傷ついている子どもへの対応

基本的には、子ども達がこのような様子を見せることを理解し、やさしく、しっかりと、受け止めてあげましょう。

今までできていた事までできなくなる赤ちゃん返りに対して、しっかりしなくてはダメだとしかりつけるのは、逆効果です。赤ちゃん返りは一時的なものです。不安を下げるために、一生懸命に愛を求めているのです。やさしく、抱きしめてあげましょう。
ただ、「赤ちゃんがえり」(退行現象)という言葉は、みなさんご存知でも、自分の子どもにどのように赤ちゃんがえりが出てくるかはわかりません。赤ちゃんがえりは、その子その子で、様々な形で現れます。
親は、子どもに強くなってもらいたいという愛によって、時に逆効果になることをしてしまいます。お気持ちはわかりますが、赤ちゃんがえりは、一時的なものであり、これから強く成長していくための一つのステップなのです。
子どもたちは、遊びを通して、学び、いやされていきます。できれば、場所や道具を用意して、遊ばせてあげましょう。
また、思春期の子ども達も、不安や恐怖と必死になって戦っているのです。怠けや反抗に見えることもあるでしょうが、頭ごなしにしかりつけるのではなく、少年たちの感情を受け止めてあげましょう。

「災害遊び」:子どもは遊びを通して癒される

被災後の子どもの中には、「災害遊び」といえるような、地震ごっこや、火事ごっこをして遊ぶ子ども達がいます。大人から見れば不謹慎で、非常識に見えますが、子どもなりに心を癒すための活動を本能的に行っているのです。(昔の有名な映画「禁じられた遊び」も、戦争被災者である子どものお葬式遊びです。)
子どもの災害遊びを、しかりつけて、無理に止めさせてはいけません。
大人たちも、周囲の人と災害の話をするでしょう。暗く、悲しい話をするでしょう。一緒に泣くでしょう。そのことによって、癒されるでしょう。無理に止められたら、いやですよね。
子どもの場合は、うまく言葉で表現できない部分、遊びという行動によって、癒されていきます。普通の遊びですら、不謹慎、うるさいと止められています事がありますが、遊びは大切です。
ましてや、災害遊びは、それこそ不謹慎と言って叱られそうですが、災害遊びこそ子どもが自分の心を癒そうとしている行動です。
災害遊びは、ごっご遊びや、積み木、砂場遊びなどで出てきますが、これ以外に、絵に描く子どももいます。暗い絵だからと言って、辞めさせないでください。
また、子どもでも、災害の話を繰り返しする子もいます。子どもですから、訳のわからない話を、それこそ何度もするでしょうが、どうか聞いてあげてくだささい。
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避難所なのでは、周囲の迷惑を考えれば、静かにしなければいけないこともあるでしょう。あるいは、隣にいる人が泣き崩れているときに、子どもが災害遊びをするのは、たしかに忍びないでしょう。
そんな時は、ぜひ誰か、心に少しでも余裕のある大人が、別の場所へ連れて行ってあげてください。ただやめさせるだけではなく、あっちであそぼうと、連れて行ってあげてください。子ども用のスペースがあれば、一番いいですね。少し落ちつけば、子どものためのボランティアもたくさん来るでしょう。ぜひ活用してください。
ボランティアだけでなく、避難所のお年寄りで、力仕事はできないけれど、子どもとやさしく遊ぶのは得な人もいるでしょう。お年寄り自身、子どもと接することで、心癒される人もいることでしょう。
小学生の発達心理学。男の子のイラスト  幼稚園児の発達心理学。女の子のイラスト

子どもに無理はさせない

災害遊びや、災害の絵や、災害の話が、心をいやすとは言っても、だからといって、無理に子どもに被災時の絵を描かせたり、作文を書かせることは、注意しなくてはなりません。
「遊び」は、あくまでも、子どもが自発的に、楽しい思いで行うものです。だからこそ、心を癒す効果があるのです。
無理はさせない。でも、子どもが表現してきたときには、自由にさせてあげるようにしましょう。
なお、この「災害遊び」も、すべての子どもに見られるわけではありません。子どもも大人も、被災者一人ひとりは、それぞれ別々の体験をしているのですから。
また、子どもの中には、災害後とても良い子になってしまう子もいるでしょう。がんばる子です。でも、無理をさせるのはやめましょう。しっかしと、その子を認め、愛し、時に甘えさせ、休ませましょう。一見元気に見える子どもも、無理をしているかもしれません。

親自身が、自分の心を守る

まじめな親や、先生の中には、自分を犠牲にしてでも子どもを守ろうとする人がいます。その心はすばらしいのですが、子どもの心を支えるためには、大人の笑顔と冷静さが必要です。
子どもの心の傷が長引いて、PTSDにならないためには、周囲の大人の力が大切です。まず、大人が落ち着いて、子どもの前で笑顔になり、子どもをしっかり抱きしめましょう。
こんな言い方をすると、今とても余裕がない大人たちは、さらに自分を責めてしまうかもしれません。でも、そんな必要はありません。
子どもを守り育む仕事をする人にとって、自分自身の心を守ることは、とても大切です。子どものためにも、自分自身を守りましょう。

必要な休息をとりましょう。愛を注ぐだけではなく、愛を受けましょう。あなたの苦しみや苦労を、わかってもらいましょう。
子どもを守るのは親の役割、親を守るのは地域のみんなの役割です。
みんなで一緒に子どもを守っていきましょう。
>>PTSD 心的外傷後ストレス障害(心の傷に負けないために)
>>子どもをPTSDから守ろう:災害後特に注意すべき子どもたち
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犯罪被害者、子どもの心のケア

子どもの災害と心のケアに関する本

BOOKS
心のケアと災害心理学―悲しみを癒すために 』 藤森立男 藤森和美 著 芸文社
子どものトラウマと心のケア』藤森和美
学校トラウマと子どもの心のケア 実践編―学校教員・養護教諭・スクールカウンセラーのために
親子のための地震安全マニュアル―家庭で備える地震対策最新情報!
防災授業 僕たち自然災害を学び隊!―自然災害は、どうして起きるのかな?どうすればいいのかな?
12歳からの被災者学―阪神・淡路大震災に学ぶ78の知恵
地震から子どもを守る50の方法
今すぐできる!ママが子どもを地震から守るための本 (マミーズブック)


東北地方太平洋沖地震(東日本大震災)の災害心理学
 



 


 


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発達心理学1.乳幼児の心理〜児童期の心理

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ウェブマスターの本『あなたが死んだら私は悲しい:心理学者からのいのちのメッセージ』
 

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